びんごトピックス  2001年10月10日号  表紙写真


ホーコスが福山北産業暖地へ進出

工作機械、環境改善機器製造のホーコス(株)(福山市草戸町二丁目24-20、資本金八千五百万円、菅田秦介社長)は、十月二日、午前十一時から福山市役所六階、第二応接室で、福山北産業団地への進出について、三好章市長と土地売買契約を締結、立地協定書に調印した。
計画によると、福山市駅家町と加茂町にまたがる同団地南東のIブロック北側の二万七百九十六・四〇平方mを取得、一期工事で鉄骨造り一部二階建て延べ面積三千五百十二平方mの工場建屋を建設する。十一月中に着工して来年三月に完成、操業の予定。新工場には環境機器部門の集じん機の組立工場と鋳造工場を配置する。総投資額は土地取得費を含めて約十億円を見込んでいる。時期は未定だが、二期、三期工事で同団地内に主力工場を整備する。
福山北産業団地への進出企業は十二社目、今回の立地で約十二万八千三百七十六平方mが分譲され、全体の約四〇%となった。
進出の決まった企業や操業を始めた十一社は▼(株)中国新聞福山制作センター(操業中)▼富士ベンダーサービス(株)(同)▼アイゼン商事(有)(同)▼(有)マルエス紙工(同)▼(有)エキヤパッケージ▼(有)サブレ▼こだま食品(株)(建設中)▼備後通運(株)(同)▼備後漬物協同組合(同)▼広島グラスビーズ工業(株)▼(株)なかやま牧場


中国木材資源リサイクル協会が廃木の製品化研究

中国木材資源リサイクル協会(佐藤光利代表理事=(有)明林チップ取締役)は先月、新たに三社の加盟を得、オブザーバーを含め計十五社となった。今後も新規会員獲得を目指す。
廃木に関する情報交換を目的に設立された同協会は、明林チップの佐藤取締役が中国各地の同業者を訪ねて主旨への賛同者を募りながら準備、四月に役員を決めて発足した。七月には全国組織である全国木材資源リサイクル協会連合会にも加盟した。また将来的に四国での協会設立も視野に入れ、四国の業者にも働きかけている。
同協会では、現在月一回の定例会議を開いて勉強会やリサイクルの二次製品製作について研究している。協会顧問の(株)リ・ユーステクノ研究所(広島市中区)、中河原龍真代表取締役の紹介で、プラントメーカーの担当者を迎えるなど、リサイクルの実用化について勉強会を重ねている。木材製品製造段階で出る、おが屑より粗いダストと呼ばれる木粉を再利用する方法について、樹脂で固めて板にしたり、一旦炭にしてから樹脂で固めて板にする方法などを検討しており、採算性の問題がクリア出来次第、製品化するという。次回定例会はみやび総合結婚式場(福山市南蔵王町)で十月十七日に開く。
なお佐藤理事が副会長を務める全国木材資源リサイクル協会連合会(東京都、彦坂武功会長=市川燃料チップ(株)代表取締役会長)は、木屑リサイクルを進めようと、建築廃材リサイクル法制定に向け当時の建設省に働きかけ成果を上げているが、建築廃材としての木屑の発生量の違いによる、地方と都市の温度差をなくすのが課題という。
同代表理事は「適正処理の基準が今後ますます厳しくなる。処理業者に限らず、木材製品メーカーなどにも適正価格による適正処理の重要性理解を求めていきたい」と抱負を語る。


国際マイコンサービスがIネット利用の見積システム商品化

システム開発の国際マイコンサービス(株)(三原市宮浦六丁目6-30、資本金一千万円、木原一充社長、TEL0848・63・0311)はこのほど、インターネットを利用した見積システムを開発、販売を開始した。
「iWeb見積システム」は、インターネットに接続できる環境があれば利用でき、書式を重視したPDF形式のため見積書としての出力も可能。五月に広島で開かれた、富士通関連の展示会に併せて開発したものに改良を重ねた。セキュリティ面では、VISA決済システムなどでも採用されている、伝送データを暗号化して保護するSSL方式で、アメリカのベリサイン社が提唱するもの。今後はさらにスピード面も重視した研究を進めながら、既に技術的には可能とする、販売管理システムと組み合わせた商材を実現するという。
同社では昨年四月、JAVAを使ったデータベースの研究開発を開始した。ユーザーが自由に項目設定、検索できる「iWebデータベース」完成に伴い、そのシステムを活かそうと同年十二月に「いこりサイト」を起ち上げた。同サイトは、有料で「催しもの情報」などの閲覧が可能。現在は会員がPRシートに記入した「欲しいものリスト」や「売りたいものリスト」も閲覧が可能なほか、掲示板やメールマガジンで情報交換ができる。先月開催の「いこりネット21パート2」にも出展し、入会者を募集、既に六十社を超えており、今後も入会者を募る。
また、同様にデータベースを活かしたインターネットでの営業支援システムも販売している。NTTドコモのiモードで容易に在庫確認や日報、受注入力などが可能になるシステムで、日常業務の簡便化がはかれるという。同社のホームページでデモ体験もできる。アドレスはhttp://www.kms.co.jp
 


近畿中国四国農業研究センターが新品種で小麦生産農家を支援

独立行政法人農業技術研究機構に属す近畿中国四国農業研究センター(福山市西深津町6-12-1、TEL0849・23・4100)では農産生産技術に関する様々な研究を行っている。同センター作物開発部小麦育種研究室(石川直幸室長)ではこのほど小麦の新品種「中国146号」と「中国143号」の開発に成功、概要を発表した。
146号は近年北海道を除く国内で盛んに生産されている「農林61号」に比べ、背丈が低く(倒れにくい)、熟期が五日早い(小麦は梅雨前の収穫期で雨に弱い)など優れた特長を持つ。うどんの原料に適し、色や粘弾性、食味などの製麺試験でも農林61号の六一・三ポイントに対し七四・二ポイントの高い評価を得た。九月二十九日行われた同センター一般公開でもひやむぎに製麺したものが試食され、予想以上の好評に手応えを得ている。
同センターではこの「中国146号」を来年七月までに品種登録を行い、命名登録を来年九月をメドに行う予定。ついては親しみ易い名称の公募も行う。
143号は146号とほぼ同等の特長を持つが、世羅台地など温暖な中山間地域に適した品種。製麺試験では146号より高い七八・一ポイント(但し麺メーカーは粗蛋白を多く含む146号が好み)の評価を得ている。
小麦は国内自給率が一時四%まで落ち込み、一〇%をようやく超えたところ。国内産は特にうどん原料として使用されているが、純粋な国内産小麦使用のうどんはほとんど無くなっている。同センターは小麦生産農家が製麺加工まで手がける農業を目指しており、付加価値アップを生産農家の収入アップにつなげることが目的。
試験栽培が岡山県奥津町や広島県君田村で行われ、今年は中国143号を使用したうどん乾麺が今月内にも販売される見通し。昨年から二町の小麦生産農家では製麺ルートを確立するため従来種の小麦で乾麺の販売を始めている。
君田村の山口信子さん(TEL0824・53・2504)は「石臼挽き君薫るパス田」とネーミングして販売。石臼挽きの小麦粉は小麦の表皮(ふすま)が混入するためやや茶色っぽい。うどんにした場合、食感も違うが昔懐かしい味わいが特長となる。
同センターでは小麦の自給率アップに加え、品種改良から一歩踏み込んだ農家支援を試みている。



こぼれ話  2001年10月10日号

13年で実った小麦 新品種開発と名前

近畿中国四国農業研究センターの作物開発部小麦育種研究室はこのほど、小麦の新品種「中国146号」の名前を一般公募することにした。そこでお聞きした小麦の名前にまつわる話を少し。
お米の場合は「コシヒカリ」「ササニシキ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」など一般消費者にも有名なブランドが多いが、小麦は玄麦を目にする機会もなく、小麦粉の種類を表す強力粉、薄力粉といった名称の方がピンとくる程度。しかし小麦にもちゃんと名前がある。
小麦の生産は北海道で盛んに行われており、全国の半分をまかなっている。その北海道で五〜六年前まで盛んに生産された品種が「チホクコムギ」、今は新品種の「ホクシン」に代わっている。北海道を除く全国では、最も多いのが「農林61号」。そっけない名称だが、ニックネームのような名前を考えず、農林系統番号が品種登録されたもの。
うどんと言えば讃岐うどんが有名だが、讃岐地方で少し前まで生産されていた品種は「チクゴイズミ」。北九州の筑後で生産が始まった品種だが、讃岐うどんの原料となる小麦が筑後では…となったためか?今の主力は「さぬきのユメ2000」だそうだ。
昔は、こうした新品種の名前には国の開発したものにはカタカナが、県や民間の開発した品種には平仮名または漢字が使われた。今は使用する文字種の垣根がなくなり、「さぬきのユメ2000」といった文字種混合の名前も付けられるようになった。
こうした名前は、特許庁の工業所有権と同様、農林水産省の品種登録と命名登録で権利が守られており、いい品種を開発する原動力にもなっている。
しかし新品種の開発は大変で、理屈からでも最短十年、実際のところは十三年でも早い方だという。新品種はかけ合わせ(人工交配)に始まり、何世代も選抜しながら品種を絞り、品種を固定させる。半数体育種法という短期固定の方法もあるが選抜作業を後回しにする方法で新品種確定までに要する期間はさほど変わらない。新品種の候補が決まった後は奨励品種決定調査が待っている。これが最短でも三年。そんなこんなで新品種開発には十三年ほどの期間がかかるそうだ。
小麦の国内自給率は一〇%あまり。新品種「中国146号」はうどんの原料を目指して開発された。「おいしいうどんはやっぱり××に限る」と言われる日も近い。(J)

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