びんごトピックス  2001年11月30日号  表紙写真


制電社が遠隔モニタリングシステムの利用拡大狙う

自動制御盤設計・製作、インターネット開発の(株)制電社(福山市曙町6-9-16、資本金一千万円、時實忠社長、TEL0849・53・4070)はこのほど、インターネットカメラ利用の遠隔モニタリングシステムを保育所など託児施設で利用できるPRを開始、新販路の開拓を図っている。
カメラ映像をインターネットのホームページ上でライブで見られる同システムはマウスでカメラの向きやズームを操作でき、画像の精度も高く、静止画像なら同時に何画面でも表示できるのが特長。これまで、担当医師が遠隔地から患者の手術への指示ができることから病院などで採用されている。
一般的に、託児施設や福祉施設での虐待事件が多発していることから、信頼度アピールを課題とする施設が増加する、と同社は予測。ADSL接続の拡大などインターネット環境の整備が進んでいる現状を活かし、家庭にいながら施設内が見渡せる効果をPRしながら営業を強化。さらに販売代理店との提携を模索している。
同社は、取引先の三菱重工業(株)が海外に輸出した印刷機械の磨耗度をチェックするなどリモートメンテナンスを担当しており、その技術を生かそうと今年一月から商品化に向け研究を開始、五月に商品化した。IT事業部責任者の時実豊さんは「技術を生かし、企業の色を出せるモノ作りを進めていきたい」と話している。
また同社では、清掃業者からの依頼で角型ブラシの商品化も検討中で、現在特許申請している。床清掃で使用される電動ブラシは丸型が多いため、隅を掃除するのが難しく、特にワックス除去に適さないことから、業者から新ブラシ製造の依頼を受けた。集塵サンダをたたき台に、振動を抑えるなど工夫を重ね、商品化に向け研究を進めている。
さらにNTTコミュニケーションズのバリューパートナー認定企業で、かつNTT西日本の販売代理店でもある同社は、携帯電話の通信システムをいかした電動車いすの商品化も検討している。カーナビに利用されているGPS衛星を使って電動車いすの現在地を割り出せる機能を搭載するもの。さらに本人が乗っているかどうかや転倒などの情報も監視センターが管理、ネットワークを通じて直接各家族などに届けるシステム。同じく特許申請中。
同社は昭和四十三年創業、同五十六年設立。三菱重工業(株)紙・印刷機械事業部や同三原機械・交通システム工場とその関連会社、NKKなどが主要取引先。従業員は現在五十五人で、昨年二月には品質管理の国際基準ISO9001の認証を取得、同七月にIT事業部を開設した。HPアドレスはhttp://www.seidensha.co.jp


神茶園が韓国キムチの通信販売開始

「青銭神茶」の(株)神茶園(福山市南蔵王町5-22-40、資本金千二百万円、本川春美社長、TEL0849・45・8245)は十二月十日から、通信販売の新商品として、キムチとキムチ鍋用みそセットの販売を開始する。
キムチの本場、韓国のメーカー(株)キムチ―ナラ(Young‐Jin.KO社長)と提携。白菜キムチにくり、なつめ、細切大根キムチなどを加えて巻き込んだ生食用「ロールキムチ」三百gと大根キムチ「カクテギ」三百g、鍋用の白菜キムチ「ポギキムチ」五百gの三種類と特製みそのセット。ロールキムチは、日本のために開発したオリジナル商品。税、送料込みで三千五百円。今月末には一dを輸入、既に案内を出して確保した顧客のうち、まず約千五百人分を発送する。
商品化以前は、本場のキムチの味に惚れ込んだ本川社長が、(株)キムチ―ナラから個人的に送ってもらっていたもの。知り合いなどに好評で注文が増え、この味を日本でも広めたいとのYoung社長との思惑が一致、商品化を思い立ったという。七月から企画を進めたが、教科書問題でビジネスの中でも反日感情を感じたという。同社長の「おいしいものを食べて元気になりたいのは誰でも同じ」との思いから、韓国のキムチと日本のみそをセットで販売することに決定、(株)ますやみそ(呉市、舛本忠俊社長)の「ますやキムチ鍋特製みそ」を組み入れた。鮮度や日持ちの点から輸入の際の真空パックも工夫、「韓国の味をそのまま食卓に届けます」とPRしている。また韓国のワイドショーにもYoung社長と出演するなど、精力的に動く本川社長は「他社の商品を企画するのは初めてで、成功すれば自信になる。初心に戻って挑戦します」と意気込みを話す。
また主力の健康茶「青銭神茶」の原料「青銭柳」を知ってもらおうと、顧客サービスとして行った「青銭柳の森見学ツアー」が好評だったため、キムチセット購買者からも応募を募り、三泊四日の「韓国ソウル・チュンジュのキムチ工場見学ツアー」を来年二月に行う予定。商品内封の葉書で応募する。同社長は「感動できるツアーを実現します」と話している。


ミシマがヘア専門店紹介の「bisai美彩」創刊

美容品販売のミシマ(株)(本社=尾道市、三島修社長、福山支店=福山市沖野上町4-8-23、TEL0849・22・6081)は広島、岡山、愛媛、香川の五県をエリアにヘアサロン専門雑誌「bisai美彩」の創刊号(十一月一日発行)を発刊した。
「bisai」は十八〜三十代の女性を主ターゲットにエリア内のヘアサロンを紹介する内容。各店舗の紹介はその店で選定した素人モデルを全面写真で紹介する方法で、ヘアカタログ集のような編集。紹介は有料で、店舗のホームページも作成。巻頭でヘアアーティストがヘアファッションを紹介し、話題づくりを行っている。
紙面はA4よりやや大きいサイズで本文百四ページ、フルカラー印刷。七十五店を紹介。定価四百円。二万部を発行し、同社の取引先ヘアサロンと書店、コンビニで販売。http://www.bisai.net
制作・印刷は青葉印刷(株)(福山市)、販売は(株)ザメディアジョン(広島市)。


サトウ製作所が釣り竿保護具や樹脂ピンセット販売

プラスチック射出成形の(株)サトウ製作所(深安郡神辺町十九軒屋38-1、資本金一千万円、佐藤憲示社長、TEL0849・53・1994)の自社開発商品で、釣竿保護具の「釣竿まもる君」の売り上げが徐々に伸び、年間販売枚数が三百枚を超えた。
ブレーカーやカーオーディオパネル、ヘルメットなどプラスチック製品を製造する同社の新商品開発のきっかけは、社員の趣味の釣り。竿を防波堤などにたてる際にすべったり、傷が付いて傷むことから、保護シートの開発を思い立った。タコ型のデザインで、突起の間に竿を挟み、船べりや防波堤など、竿との接触部分に敷く。環境への影響を考え、素材は塩ビでなくエラストマーを利用。パッケージデザインも同社が制作した。開発後三年目で、佐藤社長は「徐々に浸透している」と手応えを感じており、今後は「環境に優しい釣り道具」を積極的にPRし、販売の拡大を目指す。
また同じく二年前に商品化した、長さ約二十五cmの医療用ピンセットをPP(ポリプロピレン)で成形した「なんでもピンセット」の利用法も研究中。使い捨ての医療用ピンセットとして開発したが採用されず、当時は利用法を特に絞らずに売り出した。販売店でもどのコーナーに置くか絞りきれないことから販路の拡大に苦しんだが、今後は虫取り、枯葉摘みなどガーデニング用、箸の代わりとしてキッチン用品、介護用品など、用途を絞った提案とパッケージで展開していく。
同社はこれまで、紙袋の取手製造では全国シェアの半分を占め続けたこともある。プラスチックの発泡技術を生かし、工作機械や自動車などのエンジンの振動を吸収することで白蝋病の予防にもなる防振用グリップの製造も手掛けるなど、新分野の開拓にも積極的。今後も一般消費者により近い製品作りを心掛けるという。
佐藤社長は「少量多品質の時代に合わせ、経験と技術を生かした小ヒットの自社商品を狙ってきましたが、三年目の今年は勝負の年。社内的には品質保証のシステム作りにも取り組みたい」と意欲を語る。



こぼれ話  2001年11月30日号

判をついたら60万円 防火点検詐欺にご用心

消防法では事業所への消火器などの設備設置が義務付けられている。東京の新宿でビル火災が連続して発生、火事の怖さを思い知らされたが、年末接近のあわただしさに紛れ、びんご地区で消火設備点検詐欺が多発している。
福山のF社は製造メーカーだが、突然、消火設備の点検業者が訪れた。「どうぞ」と社員が応対し、二十分そこそこの点検作業の後、確認のつもりで「ご苦労様」と判をついたのが間違いのもと。ついた判は作業終了確認書への判ではなく、金額六十万円成りの売買契約書。もちろん法律上まったく手抜かりのない契約書。一般消費者には通用するクーリングオフも法人の場合は認められず、相手はそれを承知の上だから強気で支払いを求めて来るという。
トラブルを避けたい企業心理を突く、あくどさ極まりない手口だが、「裁判費用よりも安い授業料」と泣き寝入りの処理をする企業がけっこうあるという。
テロ事件でアメリカ大統領が肩を抱いて称えたほど、消防・防火は生命にかかわる重要な仕事。法律遵守はもちろん、正規の点検作業も本当にご苦労なこと。そうした尊い仕事の衣を借り、不況に重なるデフレ経済に喘ぎ、身を粉にして働く善人を騙すとは許しがたい悪行。被害者の怒りも消し止められないほどメラメラと燃え上がっている。
消防法では防火対象物の点検と報告を義務付けており、延べ面積千平方m以上のデパート、ホテル、病院、飲食店、地下街などの特定防火対象物は一年に一回、工場や事務所、倉庫、共同住宅、学校などの特定防火対象物以外は三年に一回が義務付けられている。
問題の点検実施者は、消防職員が行う訳ではなく、規模や用途によって消防設備士または消防設備点検資格者、または資格不用の防火管理者などが行うことになっており、定義は資格だけ。委託の業者でも誰でも資格があればどんな防火対象物も点検できる。
そのあたりが悪徳業者のつけ入るスキで、悪徳業者から身を守る唯一の方法は信頼できる業者と契約した上で、身分証明書の確認など従業員に業者への対応方法を徹底させるしかないようだ。この機にぜひ社内での確認をお勧めしたい。
ちなみに特定防火施設以外では、実際に点検報告がされているケースが少ないのが実情。テロも含め、国の失業対策でも点検作業員の確保が検討されているという。(J)

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