びんごトピックス  2002年2月10日号  表紙写真


小堀建設が笠岡初の2000年版ISO9001

建設業の小堀建設(株)(笠岡市二番町五、資本金二千万円、小堀秀男社長、TEL0865・63・5001)はこのほど、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001・二〇〇〇年度版の認証を取得した。
一般的に建設業者がISO認証取得を取る場合、認証機関はJAが多いという。同社ではBVQI(ビューローベリタス・クォリティインターナショナル)。適用範囲は「建築および土木工事の設計・施工」の業務全般。二〇〇〇年版の認証取得は、笠岡市内では初めてという。キックオフは昨年三月で、それまでの社内的な品質管理体制を土台に文書化を進めたため取得まで一年かからず、審査も一回で合格した。「小堀建設(株)のとびら」と題された全八十五ページのマニュアルは、平易で理解しやすい文章を心掛け、字体も丸ゴシックを使うなど、社員全員が意識的に取り組みやすい方法をとったという。
週一回のISO会議などで取得を推進した責任者の山室智司工務課長は「ISOを条件とする入札が増えている。取得を機に社員全員のしっかりした目的意識のもと、顧客満足に努めたい。品質管理に完成はありません」と気を引き締めている。
また同社ホームページ「コボケンのかわら版」(アドレス=http://www.koboken.co.jp)でも現在、建築用語集を掲載しているほか、地域のイベント情報などを掲載していく予定。今後、さらに掲示版を活用した参加型HPとして情報発信していくと同時に、施工例など事業紹介のページも充実を図る。
昭和三十九年の創業以来、ビルや学校、病院、一般住宅などで多くの実績を持つ同社の小堀秀男社長は「当社はビルや公共建物建築のイメージが強いようですが、昔から木造住宅にも多くの実績があります。二十ある営業種目を活かし、新築やリフォームなど一般木造住宅部門を強化したい」と話す。
また、小堀社長は笠岡商工会議所(関藤篤志会頭)の建設部会長も務めている。同社長らを中心に、商工会議所からの情報発信をより充実させ会員メリット増強に繋げようと、それまでひとくくりだった同建設部会を土木、建築・総合、設備工事、専門業種、建材の五種類に分類。それぞれ事業推進委員を選任し、より専門的な視野から事業推進に取り組める体制を整えたいとして現在協議を進めている。


福山にスーパー銭湯「夢之湯」が開店

健康志向の高まりで温泉法等の施設が注目されているが、福山市に桧のおが屑と酵素を組み合わせて生活習慣病などに効果のあるイオン温浴施設のイオンハウス、有名温泉地の温泉を使った「温泉の湯」、ジェットバスや打たせ湯、露天風呂、サウナなどを備えたスーパー銭湯「夢之湯」が八月の盆前オープンを目指して建設地の造成工事が始まった。
建設地は、福山市千田町大字千田1丁目2706外、国道一八二号線沿いの千塚池隣接地。建設しているのは(有)日本エステート(福山市、小林立(りつ)店長)、計画によると同所の敷地四千四百六十平方mに、鉄骨造り平屋建て一部二階、延べ床面積千四百十九平方mの建物を建設する。
一階にこの施設の目玉となるイオン温浴施設を設ける。桧のおが屑風呂に酵素を組み合わせた利用方法で北海道小樽市に本部を置くイオンハウスのフランチャイズ、中国・四国地方では香川県に次いで二カ所目となる。また、中四国地方の有名温泉地から専用のタンクローリーを使い温泉を運び入浴できる「温泉の湯」もあり話題を呼びそうだ。月ごとに温泉地を変える。
このほか敷地内に人気の露天風呂も設ける。内部には遠赤外線サウナ塩サウナ、備長炭を使ったウエットサウナ、打たせ湯、薬草風呂、ジェットバス、あらゆる各度からジェット水流が噴出すバイブラバス、冷水浴、低周波マッサージ浴、軟水風呂など各種の風呂が楽しめる。一部にはテーブルを設けて四十席の椅子席があり軽食や飲物コーナー、二階には畳敷きの休憩室もある。駐車場は敷地内に約百五十台を収容できる。
近く施工業者を決めるが、総事業費は約五億円を見込んでいる。
営業時間は平日が午前十時から深夜一時、土・日曜日は午前九時から午前二時までの予定で計画を進めている。
「夢之湯は、安い料金で各種の風呂を楽しんだり、中国地方初のイオン温浴で生活習慣病などへ効果もあり、福山市内のほか東は井原、北は神石郡内、府中や新市などからの集客も積極的に進め、子どもから高齢者まで幅広い客層がご利用いただけるよう施設を整備いたします」=オーナー談。


カネモがイ草のホルムアルデヒド吸着フィルター商品化

備後畳表、退色防止畳など製造・卸売の(株)カネモ(福山市熊野町乙1183-9、資本金一千万円、門田和征社長、TEL084・959・0311)はこのほど、畳表の原料となるイ草に、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着する作用があることを県立東部工業技術センター(福山市)との共同研究でつきとめ、畳の新たなPR方法の検討やエアコンフィルターへの応用による商品化を進めている。
約二十年前、東京大学の教授が発表したイ草の二酸化窒素吸収作用に着目した門田社長が、イ草内部の綿状部分のはたらきを解明しようと昨年十月、センターに共同研究を依頼。ホルムアルデヒド吸着作用もあることを明らかにし、現在共同で特許も出願している。同社長は「備後で六百年作られつづけている畳の、素材の良さを再確認できた。将来性にも自信が持てました」と話している。
一般的に畳の需要が縮小するなか、機能的な畳の研究開発を続けていた同社は、当初「ホルムアルデヒドを吸着する畳」を開発するつもりだったという。ところが逆に、もともとイ草にその作用があったことから、同社長は「偶然です」というが、これまでと見た目の変わらない畳自体をどうPRしていくかを検討しているという。
第一弾の応用商品として、取り換えが効き、一枚千円程度と安価なことから量販が期待できるエアコンフィルター試作を福山のフィルター製造会社に依頼、東急ハンズが畳と共に全国での販売を検討しているという。なお東急ハンズは現在、カネモが開発した、植物性の食品添加物でイ草の葉緑素を固定させた半畳畳を販売している。気温が上がりシックハウス症候群の患者が増える夏を迎える前が勝負という門田社長は「イ草のフィルターは燃やしても無害。健康かつエコ商品として商品化を実現したい」と話す。また畳需要拡大に向け「若い人の感性も取り入れ、あかぬけた畳も春以降をメドに売り出したい」と意欲を語っている。今後、イ草のもつ呼吸作用などのメカニズム解明に向けた研究も引き続き行う。
なお同社は、二月十三日に広島市で開かれる県、財団法人広島県産業技術振興機構主催の「ベンチャーメッセひろしま」にも出品するため準備を進めている。
同社は平成十一年に創業百十周年を迎えた老舗で、これまでにも裏がじゅうたんのリバーシブル畳や縁のない半畳畳など、機能的な畳開発に取り組んでいる。


福山の企業中心に海外へ目を向けた異業種組合設立へ

ベトナムやインドネシアなど海外との産業交流、新事業を視野に入れた異業種の協同組合「インターナショナル・ビジネス・ユニオン(I・B・U、仮称)」設立に向け、福山市を中心とした参加予定企業の間で準備が着々と進んでいる。
コンクリート製品製造などの美建工業(株)(福山市駅家町近田30、高田忠義社長、TEL084・976・0206)を会場に、六月から毎月第二金曜日に集まって、ベトナムを訪問した企業の説明を聞いたり、勉強会を開くなどして情報交換を進めていた。呉や東広島からも参加があり、現在十五社が設立時に参加するという。既に県商工労働課に組合設立届を出しており、高田社長が理事長に就任する予定。近く設立総会を開いて正式に発足、参加企業を募り、本格的に活動を開始する。情報交換、発信のためのホームページも開設する予定。
参加企業はアパレルメーカーや家具メーカー、建設設計やビル清掃業など多岐にわたり、「異業種ということで腹を割った話ができる協同組合」として海外との産業交流を目指す。窓口を担当する美建工業の佐伯正泰総務部長は「当面は県内の企業が対象に募集を行う。百社集まれば面白くなる」と話している。これまで、インドネシアの同業者との交流に興味を示す因島の造船業者や、開発支援などを行っているNPOのAMDA関係者からも問い合わせがあるなど、確かな手応えを感じているという。
一月末にも組合参加予定企業数社がベトナムを訪問。現地でグウェン・ティン・ハン労働大臣やベトナム橋梁道路協会会長のヴイ・ザン・リュウ元運輸大臣らと会談した。外貨獲得に積極的で、日本との交流にも意欲的なベトナムの姿勢を強く感じたという。今後もハノイ市長や現地の商工会関係のトップとの会談を予定しており、技術交流や、輸出入など新事業の計画を具体的に練っていく。また、美建工業のグループ会社、賀茂郡大和町の観光農園(有)果実の森「大和フルーツハイランド果実の森公園」を会場に、ベトナムから関係者らを招いて物産交流なども行う予定。
組合参加予定企業で、このたびのベトナム訪問にも同行し、現地の活力を肌で感じたというエフシー企画(有)(福山市笠岡町2-7ユニオンビル2階、TEL084・976・7696)の九鬼典忠社長は「現地の労働者はまさに職人。日本の中古建設機械などを望む声も高まっており、交流を深める中でビジネスに繋げていきたいという日本の企業の思惑と一致すれば、面白い市場が形成される」と期待を話す。



こぼれ話  2002年2月10日号

ホイールを止めた神戸 新技術を育てるびんご

やっぱり新技術は面白い。「これはいい」と思わせる技術は、不況を乗り切る勇気を与えてくれる。
お弁当の(株)いしい(尾道市)の石井照章社長がぞっこんの面白い技術は、同社が試験的に導入した「E―CAPS」。同装置は走行中も車のホイールを静止させ、新しい広告効果を生み出す。素人でも考え付く原理はベアリングと振り子のような重りの組み合わせだが、そんな原理だけでは高だか時速十五キロも超えれば、ホイールは回り始めてしまう。
その難点を「E―CAPS」はホイールの後方にわずか十センチほどのノーズを付けることで解決している。ノーズは外に飛び出した溝のような形状で、車の速度が上がれば、ホイールの外側で空気を切る翼の役目をし、ホイールの内側では内部の空気を通路を狭めながら外部に噴射させるジェット噴射のような役目を果たす。原価をほとんど変えないこのノーズこそが、時速百二十五キロでも回らないホイールを実現しており、まさにコロンブスの卵のような発明がある。
この「E―CAPS」を開発、販売している会社は、神戸市の(株)神戸エコカーパスカル研究所。発明者は同社役員でもある岡本好晃さん。自動改札用に片手で出し入れできる定期入れも発明、三百万枚を超えるヒット商品も生んでいる。
「E―CAPS」はバスから降りた人がタイヤホイールに衣服を引っ掛け巻き込まれた事故を新聞記事で知ったことが開発のきっかけ。安全装置が当初の目的だった。売り込みに行った神戸市の職員に別のベンチャー企業を紹介され、広告媒体として新事業へと発展した。
(株)神戸エコカーパスカル研究所は資本金三億八千九百五十万円。兵庫県中小企業振興公社、野村證券、トヨタ自動車、関西電力、オリックスなどが出資しており、電気自動車などエコカー専門のレンタカー事業も行っているベンチャー企業。
コロンブスの卵のような個人の発明を、アイデアマンが集まって世界二十二カ国で特許申請する商品に仕上げ、地元の大手企業などが出資して育てている。すでにアメリカでは大統領選挙で支持者が利用したり、ニューヨークのイエローキャブに装着して走ったりと、世界的な広がりも見せているという。
ちょっとしたきっかけで生まれる「面白い技術」は、どこででも生まれるが、どこででもは育たない。失敗を恐れず、そんな技術をみんなで育てる「インキュベーター地域びんご」が望まれる。
NKKが二〇〇六年の本格的な製造を目指し、開発を進めている次世代エネルギーDME(ジメチルエーテル)にも注目したい。メタンとよく似たガスでLPG施設を転用して普及させることができ、優れた燃焼特性を持つ。火力発電やディーゼル自動車用代替燃料として環境にやさしいエネルギーになるという。
こちらはちょっとした技術どころではないが、びんごに世界拠点を置くNKKの技術。RDF発電施設も福山市内で着工した。環境にやさしい「DMEモデル地区びんご」も面白いのでは…。(J)

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