びんごトピックス  2002年2月28日号  表紙写真


ベーステックが汚泥・廃プラリサイクル装置開発

環境装置、化学装置設計施工などの(株)ベーステック(福山市三吉町南1-7-32、資本金一千万円、畑庄三社長、TEL084・926・9560)はこのほど、余剰汚泥を乾燥させて土壌改良材などに利用できるリサイクル装置を開発、廃プラリサイクル設備と共に広島市で開かれた「ベンチャーメッセひろしま」に出品した。
鉄やセラミックスの玉を熱媒とし、熱媒ヒーターで廃棄物焼却の際の高温ガスで加熱、熱媒を汚泥に接触させることで悪臭を含む汚泥を乾燥させる装置。乾燥時に発生する蒸気の悪臭は八百度以上の焼却二次炉に送り分解される。低温になった熱媒は熱媒ヒーターで熱回収を行うと同時に消臭され、装置内を循環する。廃棄物焼却場以外で使用するときは脱臭炉を追加するだけで使用できる。一時間に百〜五百キロの汚泥を処理できる各機種を揃えた。大型の物も要望に応じられるという。
乾燥物は油かすと同様に土壌改良剤として利用可能。余剰汚泥など水分の多い廃棄物は焼却炉の燃焼温度を低下させるので、ダイオキシン対策で助燃剤が増加し、焼却コストを高めていることと、汚泥にはかなりのリンが含まれていることから、リン鉱石枯渇の将来を見据えたリサイクル装置として開発、既にテストも完了している。
また同社がPRを強化しているのは廃プラ油化装置と廃プラペレット化装置。廃プラの有効活用が遅れている現状を改善するため、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等廃プラスチックをリサイクルできる装置として開発を進めている。
「油化装置」は、破砕した廃プラを熱分解槽で加熱、炭化する前に取り出した重油相当の燃料を熱風炉で自消する装置。熱分解槽で気化した成分を冷却して軽油相当の燃料にリサイクルできる。塩ビを含む廃プラは投入できないが、その分省力化、コンパクト化を実現した。連続処理に向かない従来の小型油化装置と違い、廃プラを少しずつ投入し連続処理できる方式を採用。発泡スチロール専用機は一時間で三十、五十、百キロ、汎用廃プラ用は同百、二百、三百キロ処理できる機種を揃えた。
ペレット化装置「エクスルーダー」は、廃プラを、リサイクル応用範囲の広いペレットに加工する装置。溶かした廃プラをペレットに加工するのに、一旦冷やし固めてから切断する方法が一般的だが、伸延冷却する際に切れ易く、歩留まりが悪い上、人手がかかっていた。同社では、押し出してすぐに切断する「ホットカット方式」の採用で解決し、省力化、小型化を実現した。廃プラ溶解の熱源は熱媒ボイラのため、安定した操業が可能でランニングコストも安いという。一時間あたり三百キロ、一日六トンの廃プラをペレット化できるものを試作。規模は要望に応じたものも製作するという。
同社は平成元年設立、プラントエンジニアリング、産業機械の企画開発、生産設備自動化の企画設計や技術操作など幅広い技術開発を行っている。年商は三千万円規模、これらの開発技術を活かして飛躍したいとしている。


スペースプラン・ビーンズが建物模型利用営業を提案

住宅設計などの(有)スペースプラン・ビーンズ(福山市緑町1-20広島県織物工業会館四階、資本金三百六十万円、大角成美社長、TEL084・926・9800)は、工務店向け営業ツールとしてリアルな建築物の立体模型を製作、イメージを伝えやすい確認用ツールとして提案しており、このほど広島で開かれたベンチャーメッセに出品した。
同社は住まいのコンサルタント、設計、コーディネートの設計部門と立体模型製作部門が柱。模型製作は、透視図や3DのCG(コンピューターグラフィックス)など二次元よりも、屋根などが取り外しできる模型の方が、間取りなども確認しやすいことから二年前に事業化した。
設計がある程度まとまった段階で製作を開始。模型の材料は発泡スチレンボード。外壁が吹き付けならば同様にスプレーで吹き付けを再現する。建物だけでなく、植木の種類や駐車スペースのタイヤ止め、庭園などエクステリアのディテールにもこだわり、製作には一〜二週間、内容によっては一カ月かかることもあるという。
料金は、基本料金に平方m単価を加算。百分の一、五十分の一外観模型なら百坪で十〜十一万円程度。屋根や二階の取り外しが可能な内・外観模型は百坪で約十六万円程度。樹木、フェンスなど建物以外や、出窓など特殊な作りの部分は別途。またCADで設計し、着色した外観図を組み立てる百分の一簡易モデルも製作、百坪で一万五千円程度。
実績は一般住宅、病棟など三十体以上。作ってみなければ設計者にも分からなかった部分も確認でき、たたき台としての利用拡大を期待している。大角成美社長は「施主様のご家族全員で間取りが確認できるツール。住環境への関心が高まるなかで『夢を形に』をお手伝いします」と話している。開設したばかりの同社ホームページでも紹介している。アドレスはhttp://www.sp-beans.com
十三日に開かれた「ベンチャーメッセひろしま」にも出品。建築物に加え、基礎部分や地盤、外断熱など設備の構造模型化や、機器模型も手掛けたい同社にとって、メーカーとの出会いなど収穫があったという。
また同社では「リビングインテリアスクール」として三月から、二級福祉住環境コーディネーター養成講座を開講する。バリアフリー住宅へのリフォームやケアマネージャーとの連携などを学ぶ。三月九日に同所で無料説明会を開催する。
インテリアコーディネーター養成講座も昨年に引き続き開講。昨年度の二次試験合格率は全国平均五七・一%に対し、同講座受講者は八〇%と、良質の講座を実践している教育訓練給付金対象講座で。ハウスメーカーなど就職先の紹介も行っている。同十六日に福山リビング新聞社(福山市丸の内1-3-9鈴木ビル)を会場に無料説明会を開く。


流通団地進出のジャパンテクノが美容液も全国発売

鮮魚など食品の品質保持技術を独自開発、処理剤を製造している(有)ジャパンテクノ(尾道市向東町3970-15、資本金四百万円、平岡健一社長)は、昨年末に尾道流通団地(同市美ノ郷町本郷)へ進出する立地協定を県や市と結んだ。進出は今年七月に完成予定の第二工区(七・九ヘクタール)で、第二工区の立地協定は初めて。第一工区(一〇・一ヘクタール)は十四社が進出、第二工区と合わせた分譲面積約十八ヘクタールのうち三二・七%が協定済みとなった。
ジャパンテクノは昨年、ちりめんなど鮮魚の黒化防止方法で特許を取得、技術供与の提携先で使用する天然アルカリ剤を福山工場(福山市東川口町)で製造している。従業員は四人。尾道流通団地に取得する三千二百平方mに移転して同処理剤の研究所と工場を建設する予定。時期は八月に着工し来年一月操業の計画だが、経済情勢をにらみながら慎重に準備を進めている。
黒色化防止技術は東京水産大学地域共同研究センターとの産学共同プロジェクトとしても研究が進む計画で、現技術の精度アップとともに対象となる魚の種類に応じた細かな加工技術を確立していく。同社の技術をベースにした加工処理は既にかなりの規模で実施されているが、その多くは同社との契約を介さない違法なケースと同社ではみており、弁護士と相談しながら正式契約を求めていく交渉も始めた。
同社の平岡社長は「普及はうれしいが、類似技術に注意して欲しい。品質を維持向上させるためにも正式契約先を増やしたい」と話している。
また同社は一月に天然コラーゲンを多く含有した保湿美容液「MARINE DUR」(マリンデュア)を発売、二月から登録会員を募る本格的な営業を始めた。
マリンデュアは寒流系の魚から抽出した天然コラーゲンを使用。狂牛病問題で牛を原料とするコラーゲンが低迷する中で対称的に注目されている。牛などのコラーゲンが摂氏三十七度で伸びるのに比べ、魚のコラーゲンは十七度で伸び、肌でのしっとり感も大きく違うという。
マリンデュアは同社が係わった新しい抽出技術によりコラーゲンの抽出効率が向上、含有量を大幅に増やし、低価格を実現した。牛のコラーゲンを使った従来商品と比べ、約百倍のコラーゲンを含有した「シルバー」、同じく三百倍の「ゴールド」を商品化した。料金は一本三十ミリリットル入りで、シルバー八千円、ゴールド一万三千円。製造元は札幌市の(株)大志館製薬。
販売は住所・氏名などを明らかにした登録会員(会費等は不要)への限定販売。生産量に限度があり、当面の募集は全国で三千人まで。問い合わせはTEL084・981・5960同社福山事務所まで。


市制施行五十周年の井原市が新庁舎建設に着工

井原市(谷本巖市長)は二月二十五日、井原町311-1の旧庁舎を取り壊した跡地で、新庁舎の建設工事安全祈願祭を行った。
市側と市議会、工事関係者約三十人が出席した。谷本市長は「市制五十周年にふさわしい庁舎が無事完成するよう願っており、一層の市民サービス充実を目指したい」と記念事業の完成に期待を寄せている。
新庁舎は、鉄骨鉄筋コンクリート造り五階建て、塔屋一階、延べ床面積一万二百十平方m。庁舎中央部には四階まで吹き抜けの市民サロンを配置し、各階を見渡すことのできる展望エレベーターを設置、休日でも開放できるエリアして一部を床暖房にする。建物最上層の通信塔は、井原市ゆかりの那須与一に因み「弓」をデザインしている。身障者用エレベーター二基や緩やかな階段などバリアフリー施設、省エネ対応のエコアイス、市議会議場を最上階に配置し、ガラスの外観で円形の透明感を高めたデザインを採用している。災害時の拠点施設とするための高強度建築、ライフラインの自立可能システム、インターネットの利用、LAN整備、OA化など多くの特徴を持つ話題の新庁舎。総事業費は約三十一億円、平成十五年七月完成して市制五十周年を祝う記念事業となる。
井原市は、昭和二十八年四月、周辺町村と合併して発足、人口三万九千四百三十三人で市制施行した。
現在の人口は三万五千八百人、田中(でんちゅう)美術館、嫁いらず観音院、那須家の菩提寺永祥寺、西日本一のブドウ生産団地と直売場などの観光施設やジーンズの生産地としても知られる。



こぼれ話  2002年2月28日号

お買い得か福山そごう跡 デフレ?or楽市楽座?

福山そごう跡の建物がどうやら二十五億円で福山市に売却される見通しとなった。敷地は所有する山陽染工(株)会長の松本卓臣氏(福山商工会議所会頭)が寄付する意向を表明しており、福山市は土地付きで福山そごう跡を手にすることになる。
二十五億円とは一体どんな価値なのか?考えさせられる。巨艦福山そごうがオープンしたときは、隣地の駐車場や商品在庫も含めてだが、四百億円を超える投資額だった。目標年商の三百億円はバブル絶頂の余波期ではあったが、新聞紙を広げるよりも大きなチラシで備後一円の消費者をすくいあげる大胆な営業戦略とともに、かなり実現的な数字と思わせた。華々しく開かれたオープン祝賀会では、自信満々の水島広雄社長があいさつに立ち、「新しい文化を福山にもたらす」と豪語、地元の政治、経済の関係者の多くはその決断と実行力を称えていた。
新しい経営手法とまで謳われたのはそごう商法。たとえ年商が目標通りに推移せずとも、周囲に確保した土地の値上がりによって投資を回収する…というシナリオ。これは土地神話崩壊どころか消費不況のそよ風で崩壊する幻想にすぎず、伏見町再開発の核テナントとなる契約も違約金全額を支払うことなく破棄された。
まさに兵(つわもの)どもが夢の跡。あのときのそごう経営陣は敗軍の将として消え去ったが、ともに踊った地元の歓迎者は三好章福山市長をはじめほとんどが同じ面々。今度はただでさえ難しい商業活性化に立ち向かおうとしている。
二十五億円は約三万八千六百八十五平方mの店舗面積を単純計算すれば、平米当り約六万四千六百円、坪当り二十一万円とちょっと。築十年ほどではあるが、閉店前年度の年商二百二十三億円からすれば売り上げの二%を償却するペースでも六年もかからず償還ができる。この価格をテナント料に反映させれば実質的な楽市楽座も可能となる。
もっとも二百億円以上を売り上げるためには膨大な経費が要る。それは一期たりとも最終黒字を計上できず破綻した福山そごうが証明しており、たとえ固定費が有利になっても商売はそんなに甘くない。大きな道路に面していない商業施設は砂漠と同じ、楽市楽座とて客がいなくてはそろばんが合わない。福山市や破産管財人が全国の百貨店など有力商業者に打診しても進出意向がなかったことも難しさを象徴している。
唯一、天満屋が進出意欲を見せ、年間約三億円の賃料(見込み)で出店する基本合意を締結したが、福山店、ポートプラザ店を構える天満屋ならではのそろばん勘定から今度は多彩な専門店街を計画している。
そごう進出時は土地の値上がりが商業活性化の前提だった。しかし商売本来の基本は楽市楽座、固定費がかからない魅力的な場所こそが活性化を導く。跡地活性化を目指す今はデフレスパイラルの危機分岐点。そごう跡での楽市楽座的な試みは、中心市街地の商業地をデフレ危機にさらすリスクもある。二十五億円はお買い得かも知れないが、一方で商業地の資産価値をデフレリスクにさらす薄氷を踏む難しさもある。(J)

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