びんごトピックス  2002年3月20日号  表紙写真


テラネッツが月額2千円のレンタルサーバー開始

結婚式DVD、胎児記録DVDサービスなどの(有)テラネッツ(福山市平成台258、資本金三百三十万円、渡邊真哉社長)は三月中旬から、月額二千円で、無料提供サービスを充実させた低価格レンタルサーバーサービスを始めるため準備を進めている。
容量は百メガからで月額二千円から、メールアカウント無制限で初期費用は一万円。データを暗号化して転送し個人情報を保護するSSLにも有料で対応する。
無料サービスはドメイン取得代行、カスタムCGIなど。カスタムCGIの内容は、ホームページからメールを送れるメールフォーム、アクセス数が示されるアクセスカウンタ、情報交換できる掲示板、ブラウザを通して売買できる、同社指定の買い物かご。買い物かごのバージョンアップ版では、請求書、領収書など必要書類の発行もできる。さらに商品購入者の日付、名前、住所、購買品目などのデータが自動的に集計され、顧客データとしても管理できるシステム。
またページを見るたびに特定のスペースの画像が変わり、広告として利用できる「ランダムリンク」や、ページを訪れた人が記帳する「ゲストブック」、アンケートとその集計システムも無料。アンケート項目は利用者が自由に設定できるため、利用範囲が広いという。
レンタルサーバー利用者で、より多機能でランニングコストのかからないレンタルサーバーへの乗り換えを検討している企業や、個人での通販サイト運営者などが対象。営業は主にホームページ。SOHOや中小企業が集まるサイトに、ビジネス向けレンタルサーバーとしてPRしていく。渡邊社長は「低価格レンタルサーバーはたくさんあるが、無料サービスの制限などから不満を持つ利用者は多い。初期費用も月額も低価格で、逆にサービスは充実。比べてもらえれば分かってもらえるはず」と期待する。利用者には、今後同社が作製する買物かごバージョンアップCDなどを、市販の十分の一程の価格で提供していく。
最低契約期間は半年。当面は前納で運営していくが、カード決済もできるようクレジット会社とも契約を結びたい考え。サービス開始からの一年間で一千件、約二千万円の売り上げを目指す。現在、一年契約すれば二カ月分が無料になるキャンペーンを実施中。同社長は「紹介してくれた人に何割かを還元する紹介キャンペーンも検討中です」と話している。問い合わせはTEL084・940・1737


尾道の今川玉香園が土蔵復元へ

茶、茶道具卸、小売の今川玉香園茶舗(尾道市久保1丁目6-8、今川吉弘代表、TEL0848・37・3766)はこのほど、昨年三月の地震で破損するまで約九十年間、茶葉の保管庫として利用してきた土蔵の復元に着手した。
震災で破損した土蔵を今年一月に解体し、現在、基礎工事を進めている。使える石材や壁土、木組みは再利用し、北向きだった土蔵出入り口を東向きに九十度回転。二階建て延べ面積約九十平方mで、秋頃の完成を予定している。敷地内には四台の駐車スペースを設け、二階を「蔵」として利用、一階を来店客にお茶やお菓子でもてなすサロンとしての活用を検討している。
今川玉香園茶舗は明治十一年創業の老舗。破損した土蔵は、創業以前の江戸時代から隣地の倉庫として使われていたものを大正時代に買い取って以来、約九十年間茶葉保管庫として利用していたもの。土蔵の壁は五層からなり、厚さ約三十センチ、耐火性も強い。土には石灰を混ぜ込んであり、強度はコンクリート並み。資材再利用のため慎重な解体を依頼された業者も、当時の職人の技術に驚く程丁寧な造りだったという。
保管条件により熟成の度合いが変わるデリケートな茶葉に対し、土蔵の働きは大きい。季節に関係なく温度や湿度が一定に調整された冷蔵庫での保管と異なり、四季の移り変わりが茶葉の最適な熟成を促すという。甘味と渋味と苦味のバランスが良い、うまみのあるお茶になり、ファン定着に大きく貢献した。
しかし昨年三月の地震で土蔵の屋根が破損。修理には数百万円かかることから、対応を模索していた同店五代目となる今川智弘さんは、昨年五月頃から九州などに残る古い街並みを視察し、蔵と商売の結び付きを研究。その中で、ただ残すのではなく「活用の幅の広がる復元」の可能性を見出し、復元を決意、設計を依頼した業者と試行錯誤を重ねた。尾道の商店街というロケーションや、敷地内で現在でも利用している井戸、明治からの松の木などへの思いも、土蔵復元の気持ちを後押ししたという。
現在、解体や建築過程を紹介するホームページを作成中。店の歴史やお茶の話、尾道の銭湯の情報などの内容で、近く開設する予定。今川さんは「店や地域活性化のための復元を選択した。土蔵の実力と文化的な価値を活かした新しいスポットに成長させたい」と意欲を話す。
また、同店が取り扱うお茶は、高級品から番茶まで幅広く、全品無添加無着色。備後を中心に関東や四国にも取引先を持つ。今川さんは「土蔵でしっかり熟成されたお茶は、程よい香りで味もいい。お茶農家の声を活かした売り場で、消費者が安心して飲めるお茶を提供したい」と話している。


広島ガスの天然ガス化転換作業が進む

広島ガス(株)(広島市南区皆実町)は、広島市内と呉市など県西部での天然ガス化工事を終え、すでに天然ガスの供給が始まっているが、尾道支社(尾道市天満町、村尾正行支社長)管内でも一月七日から三原市内での天然ガス化工事を進め、二月二十日で予定どおり約八千戸の転換作業を完了し、供給が始まっている。二月二十一日からは尾道内での転換作業が本格化しており、四月二十四日までに市内の一万一千五百戸での転換作業が続く。本社と尾道支社をはじめ、岡山や因島のガス会社から応援の作業員を含め一日約百五十人が各家庭や職場を訪問、給湯器、炊飯器、コンロ、ストーブなどガス器具のノズルなど天然ガス用部品への交換作業を急いでいる。「転換作業は各家庭や事業所、商店などのご協力で順調に進んでおり、四月二十四日までには予定どおりの作業を終える見込みです」と村尾支社長や担当者も対応に追われている。
市内をブロック別に区分けして作業を進めており一日で六百戸から七百戸の転換作業を行っている。これらの部品交換は無料で行っている。
天然ガスは従来の都市ガスの熱量四千五百カロリーに比べ一万一千カロリーと約二・四倍の熱量があり、炭酸ガスの排出量も少なく、環境に優しい燃料として全国的に天然ガスへの切り換えが進んでいるもので、同社では尾道支社管内の尾道、三原地域への供給基地として三原市沼田西町に広島ガス備後工場を建設、パイプラインで三原市内や尾道市内に供給する体制を確立した。三原市内には三原市城町の三原営業所のガスホルダー(貯蔵タンク)と同市深町尾道市東尾道の尾道工場内のガスホルダーから安定供給できる体制が整備されている。四月二十四日で尾道地区での転換作業が終了すると尾道工場は名称を東尾道供給所に改称され、十一人の工場要員は配置転換して無人となる。
尾道、三原両市内へ天然ガスを供給する備後工場は、同社の天然ガスの貯蔵、製造を担当する廿日市工場からLNG(液化天然ガス)専用タンクローリー車で輸送され、空気と熱交換、気化して天然ガスとして熱量調整し、付臭された都市ガスとして球形ガスホルダーへ貯蔵され、三原、尾道まで敷設されたパイプラインを通じて供給される。また、原料となる天然ガスはインドネシアで採取、精製、マイナス摂氏一六〇度まで冷却することで液化され、体積は気体時の六百分の一になり、LNG専用タンカーで廿日市工場に届けられる天然ガスは石油と異なり、世界中に広く分布しており、政治変動などの影響が少ないエネルギーとして安定供給が約束されている。一方、メタンを主成分とし、不純物をほとんど含まないクリーンなエネルギーで、さらに、ガス化効率はほぼ百%なので、資源の有効利用にも役立つ。


シャープ三原工場建設工事近く完成

液晶で最大手のシャープ(株)(大阪市阿倍野区長池町22-22、資本金二千四十一億五千三百万円、町田勝彦社長)は、三原市沼田西町惣定の三原西部工業団地内に建設している三原工場が主体工事をほぼ完成、七月の操業開始を目指して仕上げを急いでいる。
三原工場は、パソコンやAVなどIT(情報技術)関連商品に搭載する電子デバイスを幅広く生産する新しい拠点工場で、第一期ではCDやDVD機器のキーデバイスである半導体レーザ素子などの化合物半導体を生産する。
工場規模は、敷地面積八万九千四百二十三平方m、鉄骨造り三階建て延べ床面積一万六千四百九十五平方mの工場と事務所、総投資額は三百八億円で、第一期工場の投資額は百八十七億円。
第一期工場が完成すると約四十人の従業員を配置して半導体レーザーチップを月産で五百万個生産する。
県内では、CDやMDプレーヤーなどの広島工場(東広島市)、フラッシュメモリーや液晶駆動装置などの福山工場(福山市)に次ぐ三カ所目の拠点工場となるもので、将来的には第四期までの拡充計画が予定されている。今後、デジタル情報家電に搭載される電子デバイスの大幅な需要が予想されており、三原工場ではシャープの新しい電子デバイスの生産拠点として市場の動向により拡大展開する。
同社は、平成十三年三月期の単体では売上高一兆六千二十九億七千四百万円、経常利益六百七十二億八千三百万円、当期利益三百四十九億二百万円。十二社連結では売上高二兆百二十八億五千八百万円。経常利益八百七億二千八百万円。
工場は栃木、広島、八尾、奈良、天理、福山など九カ所、従業員は連結で約四万七千八百人。



こぼれ話  2002年3月20日号

来月に迫ったペイオフ解禁 自治体管理の税金もパー?

ペイオフ解禁が四月に迫った。先月は尾道商工会議所でペイオフを解説するセミナーも開かれ、四月以降も来年三月末までは普通預金や当座預金、別段預金といった決済性預金は保護の対象であること、名寄せと満期日の関係、会社の保証人になっている場合の会社借入金と個人預金の相殺など、意外に知られていないペイオフルールを学んだ。
「ペイオフは関係ない」とやっかみ半分の人にも関係あるのが、団体の資産。総会シーズンでもあり、マンションの管理組合、ボランティア団体、果ては子ども会といった組織の会合でもこれまで話題にならなかった資金管理への質問が出ている。
地方自治体も国民・市民から得た血税を金融機関に預けているが、公金と言えども金融機関破綻の折には民間の預金と同じ扱いで一千万円を限度にペイオフされる。そのため各自治体は万全の対策を施している。
自治体の現金管理は日常の税収を繰り入れる「歳計現金」と目的があって蓄積する「基金」、商工業者向け制度融資の原資となる「預託金」の三つが中心。年間を通じて金額は変動するが、五月前後に最も金額が増える。三原市の例では、歳計現金が四十七億円、基金八十二億円、預託金八億円といったあたりの金額が予想されている。
こうした何十億円といったお金が金融機関の破綻とともにパーになっては社会の大問題。だが、今のところ、そうした心配はなさそうだ。
まず歳計現金については普通預金のため、全額が四月以降も預金保護の対象となり安心できる。
基金は積み立て型の資金だから有利な定期預金で運用されている。しかし自治体はどこも借金まみれ。地方債として基金の預け先から縁故債と言われる借金をしており、万一の場合は相殺が可能になる。苦しい台所がこれ幸いで、多くの自治体が預けている定期預金残高より縁故債の方が上回っている。
尾道市の場合で基金四十八億円に対して縁故債は九十一億円あり、相殺でお釣りが来る。三原市の場合は基金八十二億円に対して縁故債は四十九億円と少ないが、開発公社に対する債務保証四十三億円などを含める契約を取り付けた合計百五十六億円なら預金高を大きく超える。
預託金は定期預金から普通預金への変更で対応するようだ。また、商工業者向け融資制度は自治体が融資額の三分の一を金融機関へ預託するなどで金融機関が商工業者へ融資する制度。この制度を廃止して利子補給へ切り換えることが検討されている。利子補給制度なら預託する必要がなく、心配の種もなくなる。
来月のペイオフ解禁は以上のように不安はない。資金運用が安全第一主義の国債などに偏る可能性はあるが、問題は来年四月からの全面的なペイオフ解禁。普通預金など全ての預金が一千万円を限度に保護対象から外される。現状のままでは万一の場合、公金がペイオフされる懸念が残る。ただ一つの対策は公金の預金に限って国が保護する特例の法整備。破綻が、自己責任のない市民に被害を与える愚鈍だけは回避しなくてはならない。(J)

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