びんごトピックス  2002年4月1日号  表紙写真


万田発酵が日商岩井系の健康食品部門の譲渡受ける

健康食品製造・販売の万田発酵(株)(因島市重井町五800-95、資本金五千万円、松浦新吾郎社長)は三月七日、日商岩井グループの日商岩井コモディティーズ(株)(東京都港区台場2丁目3-1、資本金十三億円、三田地康夫社長)が昭和六十二年から手掛けている健康食品の通信販売事業の譲渡を受けたことを発表した。
譲渡されたのは、ローヤルゼリーや朝鮮人参等十種類十二商品の健康食品類と保有する約一万人の顧客リストを含む営業権一式。平成十三年三月期の同部門の売上高は二億円、現在の代理店に次ぐ新たな販売網の構築を計画している万田発酵と「選択と集中」をテーマに事業の統廃合を進めている日商岩井コモディティーズ(株)との間で思惑が合致したことから今回の事業譲渡が実現した。
なお、譲渡に伴い、通信販売事業担当の二人と在庫を万田醗酵が引き継ぎ、この部門で初年度四億円の売上高を目指す。
日商岩井側では「バイオの研究において世界的に高い評価を受けている万田発酵と、今後も事業の交流を図ってゆき、重点事業として捉えているバイオ分野での新規事業の育成を進める」としている。同社は、商品トレーディング業務・金融ディーリング業務・貴金属地金の販売・宝石の販売・健康食品の通信販売を主な業務として、年商百十六億円規模。
万田発酵は、昭和六十二年六月会社設立、二十三年間のバイオ研究で開発された植物発酵食品「万田酵素」と植物活性酵素「万田31号」を製造販売しており、年商十七億円、本社所在地に研究開発室、工場棟を設置している。全国に営業拠点を展開する万田(株)(三原市)、土木・造園事業の千晃(株)(三原市)の万田グループがある。なお、三月二十四日(日)午後一時から四時まで、因島市土生町、因島市民会館大ホールで「第三回国際発酵機能食品シンポジウムin因島」を開催した。当日は特別講演として「二十一世紀の医療は統合医療」のテーマで、東京大学名誉教授、渥美和彦氏が講演愛媛大学名誉教授の奥田拓道氏が「発酵機能食品の基礎的臨床的研究」で基調講演、筑波大学名誉教授、村上和雄氏が「遺伝子は語る」で記念講演した。


松永で下駄とばし競技など多彩に「ゲタワールド」開催

福山商工会議所や松永地域の企業などで構成する「地域振興活性化事業推進委員会」(丸山万里子委員長=日本はきもの博物館館長)の主催するイベント「楽しもう!ゲタワールド」が二十四日、福山市松永町の松永小学校で開かれた。
同イベントは同委員会が策定した「下駄とばし競技」の公式ルールに基づく初の下駄とばし競技を中心に新感覚でデザインした新時代下駄の展示、下駄を取り入れたファッションショーなど多彩な催しを行った。
オープニングでは松永下駄踊りも披露され、来賓の宮沢洋一衆議院議員らがあいさつ。丸山委員長は「データに基づいた健康下駄や新感覚のデザイン下駄も生まれました。この夏は一家に一足は下駄のある暮らしをお過ごしください」とこれまでの取り組みを紹介した。
下駄とばし競技には子どもから大人まで百組四百人が参加、新しく規定された公式競技用の下駄で飛距離を競った。優勝は一般男子の部▽二十八m五センチの坂田優樹さん、一般女子の部▽十八m三十八センチの大迫智愛さん、子どもの部▽二十一m九十八センチの箱田基君の三人で、日本下駄とばし協会認定の初競技会とあって公式記録の世界記録保持者となった。
ルールや競技用下駄の規格など公式規定策定に努力した土井芳憲事務局長((株)ドイモク社長)は「競技用の下駄は鼻緒の位置を飛びやすく工夫してあります。これからスポーツとしての普及を目指します」と第一回公認競技会を見守った。


府中の商品開発チャレンジ研究会が新商品披露フェア開催

府中商工会議所(府中市元町445-1、北川一也会頭)は、と昨年十一月開設した「商品開発チャレンジ研究会」が開設した新商品十九品を完成、三月十八日、同市府中町、マイ・TOWN、ほんどーり(旧銀天街)の会議所アンテナショップ「府中ものづくり直販工房」隣り空き店舗を利用して「できたて新商品発表フェア」を開いた。当日は約三百五十人が来店して賑わった。
新商品は、木工、食品、繊維などの二十七社から参加した二十七人が四チームに分かれて約四カ月間かけて開発、製作した十九品目を発表した。開発については県立東部工業技術センター、田中工業デザイン研究所にアドバイザーとして支援を受けた。チーム別の新商品は、木工グループは、収納式パソコンラック、エッグポット、木アレーなど八点。繊維チームは、汁物が被介護者の首筋から入らないよう工夫したエプロン、車椅子に長時間座っても楽なクッションなど五点。環境チームは、子どもの環境教育のために作られた学校用教材キット「電池レスキューロボックス」。食品チームは、ほっくりかぼちゃ、味噌味のひねりかりんとう、和風チーズ「豆腐の味噌漬」カキの土手グラタンなど五点。
アドバイザーを務めた県立東部工業技術センターの産業デザイン部研究員、橋本晃司さんは「民間デザイナーに加え、公設研究機関の研究員がワークショップに参加する形式は全国的に見ても画期的な取り組みといえる」としている。また、各チームの今後すべきこととして、繊維、木工、食品、環境それぞれにアドバイスしている。他にできたこと(優れた点)、できなかったこと、をチームごとに総括している。
メンバー企業は▼環境チーム=(株)オガワエコノス、山本鐵工(株)、(有)よみうり府中▼食品チーム=(株)本家中村屋、中村屋大清、金光味噌(株)、お菓子の館ルージュ、(有)志路、ウィズかわはら、タカノブ食品(株)、老松堂▼繊維チーム=カケエ・コーポレーション(有)、岡本(株)、エイド府中、ナカツネ洋品店、医療法人社団晃弥会、藤岡製綿所▼木工チーム=マルケイ木工(株)、内海家具工業(株)、(有)鳥井家具製作所、伊藤正三建築設計室、豊田産業(株)、(有)山崎彫刻店、(有)明林チップ、(株)内海工芸、佐々木木工(株)、(株)みやわき建設。
商品開発チャレンジ研究会を含めて、平成十二年度から実施している産業デザインプロジェクト事業は「ものづくり広島リノベーション」の一環として、県の補助を受けて実施しており、初年度がセミナー中心に、十三年度はデザインを主に開催、昨年十一月から今回の新商品開発に取り組み、新商品発表フェアで成果を披露したもの。



三原で市民の絵画を展示した「まちごとミュウジアム」開催

三原市街おこしグループ、アクティブ・クリエイション蛸塾(三原市港町1丁目5-19、ナンバ洋服店内、石井克昭代表)は、同市の駅前商店街を中心に、三月十六日から四月十九日までの期間「まちごとミュウジアム」を開催している。
この企画は三原らしさの「癒し」をキーワードに、三原美術協会の協力で集めた市民の十号までの油彩や水彩の絵画を希望の店舗に展示するもので今回は四十七店舗に四十七点を展示している。展示している商店では「来店客や通行する消費者とのコミュニケーションにもなり、商売とは別に楽しい会話もできる」、買物客は「ショーウインドーを見て歩くだけでも楽しい気分になれます」と好評のようだ。三原近海で獲れる名産のタコを愛称にした「蛸塾」(たこじゅく)は平成十二年十一月、代表者の石井克昭さんの呼びかけで参加した商店主や中学教師、OLなど七人がメンバー。昨年は第一回の企画として二月の神明市でのストリートミュージシャン・コンテストや商店街の一角に空き地となっている三原郵便局跡地の利用に関するアンケートも実施している。
まちごとミュウジアムは「商店街に絵画等の美術作品を展示することで、芸術と街づくりを結びつけ、三原らしさ、のキーワードである「癒し」を実現するとともに、市民が気軽に芸術作品を鑑賞する機会を提供し、中心市街地へ消費者が足を運んでくれることで、商店街の活性化の一助としたい」としている。この企画では、三原美術協会、かもめ信用金庫、お作事商店街振興組合、帝人通り商栄会、帝人通り振興会、ペアシティ三原専門店会、新港通り商栄会、駅前商店街振興組合が後援している。



こぼれ話  2002年4月1日号

健全な健康食品は 医療制度も健全化

健康食品製造・販売の万田発酵(株)(因島市重井町五800-95、松浦新吾郎社長)は三月二十四日、因島市民会館で第三回国際発酵機能食品シンポジウムを開催した。
シンポジウムには愛媛大学名誉教授の奥田拓道氏、筑波大学名誉教授の村上和雄氏、東京大学名誉教授の渥美和彦氏という健康・医療分野で著名な学者三人が集い、それぞれの立場から西洋医学とは一味違う健康と医療の関係を語ったが、難しい話とは違い、明るい未来を予感させる意義深いシンポジウムだった。
はじめに愛媛大学名誉教授の奥田拓道氏が「植物発酵食品の基礎的臨床的研究」と題して講演。健康食品に付き物の「○○が直った」といった消費者の声を学問的な実験で検証した内容だった。健康食品の快復例は得てして「メーカーの都合のいい情報ばかり」と疑われるが、単刀直入にその検証を試みた内容だった。
安全性や血糖値上昇の抑制効果や脂肪分解の抑制効果なども検証したが、おもしろかったのは万田酵素が二日酔いに効くという噂の検証。ラットを使って酔っ払いラットがどこまで斜面で踏ん張れるか?を実験していた。お酒だけの酔っ払いラットが四十四度で転落したのに比べ、万田酵素といっしょにお酒を飲んだ(与えられた)ラットは普通時と変わらない四十七度の角度まで踏ん張ったという結果だった。
こうした比較検証なら素人にも分かりやすい。「○○は健康にいい」といった情報が学問的に検証されれば食生活への意識も変わる。西洋医学一辺倒の薬漬け医療から、実は日常の食物の中に良薬がある…という意識に変わる。健康食品はその良薬の部分をぐっと濃縮した製品ということになるだろう。
続いて筑波大学名誉教授の村上和雄氏が「遺伝子は語る」と題して講演。村上名誉教授は高血圧の黒幕的酵素レニンの遺伝子解読によって世界的な評価を受けた人で、解読の苦労から、遺伝子情報を書いた人は誰か?という疑問に至り、「サムシンググレートの存在を感じた」と科学の枠をもう一段広げた領域を解き明かす夢を語った。
さらに東京大学名誉教授の渥美和彦氏が「21世紀の医療は統合医療」と題して講演。西洋医学と併用される形で進んでいる代替医療、相補医療を包括する総合医療の考え方を紹介した。総合医療とはアーユルヴェーダ、カイロプラクティック、ハーブなど通常の医療以外のものや医療を補助するものを科学的に検証して有効性や個体差を学術的な体系にまとめる医療のこと。健康食品の学術的評価も求められる時代として組織づくりを進めているという。
学問の世界が西洋医学の枠を広げている背景には、日本の医療制度の破綻もある。破綻は患者の意思や症状とは無関係に高価な薬を販売してきたごく一部の悪徳商法の責任もある。健康食品業界もまた一部の悪徳業者が消費者に不信を与えてきた。日本の健康を支える仕組み全体が、学問の力によって少し健全化に向かい始めた…そんな明るさを瀬戸内海の島、因島でのシンポジウムに感じることができた。(J)

このページのトップへ