びんごトピックス  2002年5月1日号  表紙写真


ニコニコ観光が車椅子のまま乗れるリフトバス導入

ニコニコ観光(株)(福山市南本庄3-5-24、資本金六千七百五十万円、橘高馨社長、TEL084・923・6522)はこのほど、県東部で初めて車椅子のまま五人が乗れるリフトバスを導入した。
リフトバスは小型バスを改造、後部の観音開きドアを開け、設置された電動油圧式リフトを使い、車椅子のまま乗り降りができる。いすゞ自動車製の受注生産。改造費だけで約五百万円。二か月半で納車され、四月二十日から本格稼動を始めた。
車椅子は乗車後、専用のワンタッチ固定装置で固定。乗っている人は車椅子のまま専用のシートベルトも着用できる。また介添えの人が乗降する別のドアは、歩行が難しい人でもスムーズに乗車できるように階段ステップ数を一段多い三段に改造してある。福山市在宅身体障害者デイサービス送迎車輌仕様に準じた設備、装置を備えた。乗務員のほか車椅子の人五人、介添えの人四人の合計九人の人が乗れる。
現在は福山市内の小・中学校十校から車椅子の生徒をすこやかセンターまで送迎、プールで水浴訓練を行う生徒に喜ばれている。
基本料金は初乗り六百二十円、時間とキロ数で八十円ずつカウントアップする大型タクシーと同じ課金方法と時間六千五百円の貸し切りの二通り。ただし介添え者の人数などによって乗り降りの時間が大きく変わるため、個別に対応している。
同社の漆川正雄営業マネージャーは「学校や施設で車椅子を利用されている方が社会参加しやすいように導入しました」と利用を呼び掛けている。
同社は大型バス六台、中型五台、小型七台に今回のリフトバスを合わせた十九台のバスとタクシー四十三台を運行。旅行代理業を含めた年商は五億円前後。


クローバルが低価格の写真画を全国展開

今年一月に会社を設立した(有)クローバル(尾道市高須町401-5、資本金三百万円、網本雅之社長)はこのほど、写真を受け取り、低価格で絵画に仕上げて納品するベンチャー企業として本格営業を始めた。
写真から油絵の絵画に仕上げるサービスはこれまでもあったが、同社はヨーロッパのアーティストをまとめる絵画制作グループと直接提携、三百九十四ミリ×五百九ミリのサイズで三万五千円という手頃な価格を実現した。料金には額の価格と納品時の送料も含まれる(消費税は別)。納期は一カ月以内。
キャンバスの枠を外した輸送により、国内への輸送コストを下げ、水彩画と同じ厚みのない額を使用することでさらなるコストダウンが可能となった。
写真画と呼ばれる同サービスは肖像画の作成や結婚式の祝い、イベントなど思い出を形にしたギフトとして人気上昇中。また低価格から裾野が広がり、ペットの絵画としての利用も期待されている。
地元では尾道国際ホテルで取り扱っているほか、地域にこだわらず全国で営業展開する。網本社長「目標は月千枚です」と意欲的に話す。
問い合わせはTEL0848・55・7497同社まで。


尾道に甲子園モデルの野球場が完成で7月7日開場

尾道市栗原町の県立びんご運動公園内に、甲子園球場をモデルに建設している野球場がほぼ完成した。
七月七日には完成記念行事を行い完成を祝う。この野球場の内野は甲子園の土とほぼ同じ黒土を入れ、グラウンド両翼九十六m、センター間二百二十m、本塁バックネット間十八・三m、外野は芝張りで甲子園と同一規格に仕上げている。夜間照明は六基(八十四灯、四通点灯可能)、全点灯平均照度は内野一、五〇〇ルクス以上、外野八〇〇ルクス以上で照明点灯点検も終わり、プロ野球の公式戦開催にも対応できる。メーンスタンドは鉄筋コンクリート造り二階建て、延べ床面積四千四百八十平方m、収容人員は内野席九千人、外野席七千人、合計一万六千人が観戦できる。内部には本部席、記者席、審判室、記録室、選手ロッカー・シャワー室、役員室、会議室、ダッグアウト、素振り室、事務室、切符売場等を整備している。スコアボードは二百九十平方m、磁気反転式表示板、野球場の愛称募集している。
このほど決まった記念行事では、七月七日のオープン当日は、春の選抜出場校、広島商業高校対東洋大姫路高校(午前十時四十五分プレーボール)、広陵高校対玉野光南高校(午後二時十分プレーボール)の高校野球招待試合が行われる。午後五時からはマリナーズのイチロー選手の恩師として知られる、元愛工大名電監督で現豊田大谷高校野球部監督の中村豪氏を講師に招き、びんご運動公園内の健康スポーツセンター・サブアリーナで「イチローと私」のテーマで記念講演会も開かれる。入場は無料。
八月十八日にはプロ野球ウエスタンリーグ公式戦、広島東洋カープ対阪神タイガース戦(正午プレーボール、入場料大人五百円、小中学生二百円)試合終了後にはカープ選手による少年野球教室も開かれる。
九月二十三日(祝)には午後六時プレーボールで、広島東洋カープ対横浜ベイスターズの公式戦も決まっている。入場料金はネット裏四千円内野指定席三千五百円、内野自由席大人二千五百円、子ども千五百円、外野席大人千五百円、子ども七百円七月一日から、びんご運動公園事務所、県東部のスポーツ店、中国新聞販売店などでチケットを発売する。
びんご運動公園は、平成五年十月十五日開園し、昨年十月には有料入園者数が二百万人を達成している。敷地は八十七・六ha、施設は第二種公認でアジア大会のサッカー会場にも使われた、収容人員約九千三百人の陸上競技場。
屋根付きや照明付きなど人工芝で十八面のテニスコートは、全体で観客五千人が収容できる。
一千人収容の芝生席のある球戯場は八基の照明塔もあり、球技大会や運動会などでも使われており、一周二百mのコースが設営できる。
健康スポーツセンターは、二階建て、延べ床面積八千五百四十七平方m、メーンアリーナの二階は固定席千五百席、バレーボール、テニスが三面、バスケットで二面、バドミントン十二面。サブアリーナはバレーボールとテニスで一面、バスケットボールも一面、バドミントン四面が使える。
コミュニティプールは二十五m六コース、幼児用プールもある。二階の固定席は四十四席。
周辺には、一周四百七十mのジョギングコースや健康遊具十三基を設置した多目的広場は三万二千平方m、うち芝生面積一万一千平方m。野外活動ゾーンには冒険の森のほか、約千七百本二十一種類の桜が植栽されたサクラの森、三十サイトのオートキャンプ場、管理棟もある。
「冒険の森」は、入場者数が平成十一年三月のリニューアルオープンから四十万人を突破した。平成五年オープン以降年間の入場者数は二万人から五万人代だったが、リニューアルからは十二万人前後に急増し、その後も順調に利用者が伸びている。面積は約二・六ha、入場料、駐車場、四十五種類の遊具も無料。弁当持参で一日を過ごす家族連れなどファンも多い。全長七十九mの人工坂を専用のそりで降りる国内最大級のジャイアントスロープなども人気の施設。同公園は、四月一日県から尾道市に管理が委託され、利便性の高い運動公園として利用を呼びかけている。問い合わせは同公園事務所TEL(0848)48・5446


国際マイコンサービスがIネットのアルバム管理商品化

システム開発などの国際マイコンサービス(株)(三原市宮浦6-6-30、資本金一千万円、木原一充社長、TEL0848・63・0311)はこのほど、Iネット上で特定の人に向け画像を公開、管理できる「アルバム管理システム」のサービス運営を始めた。
家族や企業、同窓会などの団体向けで、画像データをIネットで管理、あらかじめ登録した人にだけ公開できるシステム。「iネット営業支援システム」など、データの保護と共有を目的として同社が開発したデータベースシステム「シールダ」を応用した。容量は二十メガバイト、JPEG形式のファイルで数百枚の画像が管理できる。利用料金は一年間で五千円。五年契約の場合二万円。十メガバイトごとに二千円で容量を追加できる。
公開したい会員のメールアドレスを登録し、ID、パスワードで管理するため、会員のみの閲覧が可能になる。一画面で五枚×四段の二十枚を表示でき、指定した画像をクリックすると画像を拡大できる。サムネイルを使用しているため表示も速く、アクセス状況の確認も可能。画像一枚につき、半角で十六文字のテキストで見出しを付けられる。
同社ホームページ(アドレス=http://www.kms.co.jp)から体験版をダウンロードできる。一般ユーザー向けサービスを展開するのはこれが初めてで、年間二十件の加入が目標。
企業や団体に対しても、Iネットを利用したシステムに対する理解を深めてもらうためのワンクッションと位置付け、利用をPR。企業向けデータベースシステムとして営業を強化している、顧客管理システムや見積りシステムの売り上げ拡大につなげていきたいとしている。



こぼれ話  2002年5月1日号

コツコツと日日好日 景観を守る魂の結実

尾道の歴史的景観を守る会(日暮兵士郎会長=丸善製薬(株)会長)が四月二十五日、これまでの活動を振り返る総会を行い、同会が買収していた用地(尾道白樺美術館敷地)の市への寄付を決め、一応の役割を終えたとして解散した。
同会の活動は、景観を守った成功例として地元はもとより全国に知られるところとなり、同様の問題に関心を寄せる人たちのバイブルとして心に深く刻まれている。
発端は国宝の多宝塔や本堂を境内に構える浄土寺(尾道市東久保町)から千光寺山方向を眺める景観を著しく損なうマンション計画。平成二年八月、異議を唱えて発足し、マンション業者の時限付き理解を得て、計画地の買収によって建設を阻止する運動が動き出した。
期限内に資金を集めて買収するという難度の高い挑戦は、案の定、期限を目前に諦めムードが広がり、日暮会長を苦悩させることになる。痛恨碑を建てる準備まで行い、いよいよ最後の理事会となったそのとき、尾道にゆかりがあるという見慣れぬ大口の資金提供者二人が現れムードは一変、諦めかけていた用地買収が現実のものとなった。
ところが、うまくいった用地買収の裏事情は一年限りの時限付き借入金。そのため、今度は借金返済の苦労を背負うことになる。
用地の買収額は三億五千万円。そのうちの約二億円が一年の期限付き借入金だった。そんな台所事情が世間に届くはずもなく、日暮会長の思いとは裏腹に世間は運動の成功を祝うムードに染まっていった。今度の悩みは深刻だった。はしごの中ほどまで上がったところでの焦燥感。資金の工面に苦労する日暮会長の心中を知る人も少なくなった。
日暮会長は一年限りであってもその資金を心の底から喜んだ。尾道出身の脚本家高橋玄洋さんから、経験的に「一億円以上を自己資金でまかなえば行政が動かざる得なくなる」とアドバイスをもらっていたからだ。ところがときの博田東平尾道市長は動かなかった。建設振興こそが尾道の経済活性化策といった冷たい風が吹き荒ぶ世情でもあった。
そんな折、銀座で画廊を営み山梨県で白樺派の魂を結実させ、清春白樺美術館を生み出した吉井長三氏に出会う。「美術館を建てましょう」という吉井さんの言葉に感涙を止められなかったという日暮会長は再び勢いを得る。
しかし資金の苦労は並大抵ではなく、平成四年十一月に日暮会長は吐血、入院。手術を終えた翌年二月、やせ細って出社した姿に「このままでは親父が死んでしまう」と丸善製薬の社員が動いた。同社から巨費二億円の寄付を受け、日暮会長は大きな肩の荷を下ろし、次なる夢、美術館建設に邁進することになる。
しまなみ全通直前の平成十一年四月二十九日、マンション予定地だった地で景観を守る市民の魂は尾道白樺美術館として見事に結実した。丸善製薬に伝わる企業魂は「日日好日」。企業とは別の世界で無心の心でコツコツと歩んだ企業家魂が、打てば響く心ある社員の魂と融合し結実した美の空間でもある。(J)

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