びんごトピックス  2002年5月20日号 
 
表紙写真


建築塗装の中川塗装が木炭塗料の施工本格化

建築塗装工事を主力としている(有)中川塗装(福山市加茂長字北山381-1、資本金五百万円、中川理社長)は木炭塗料「ヘルスコート」の塗装工事を本格的に始めた。
木炭塗料はホルムアルデヒドなど新建材、塗料から空気中に出される化学物質を吸着、化学物質過敏症などアレルギー疾患を予防する効果がある。また悪臭を抑え、湿度を調整する機能でカビやダニの発生もお抑える効果もあるという。アーテック工房(株)(横浜市)が開発したヘルスコーとは高温炭、中温炭の炭を最適な割合で混合、塗料とするための糊に相当するバインダーが網目状になって炭を空気に触れる状態で塗布できる(特許)。
中川塗装はアーテック工房の広島地区代理店と三月に契約、県東部での施工を担当する福山地区代理店として活動を始め、四月に神辺町の自然厨房「コットン」でモデルケースとなる施工が完成した。同店は天井、壁、テーブルの裏、厨房など大掛かりにヘルスコートを塗布。店内を清楚な空気で包み込んでいる。
食材など自然にこだわった料理を提供する同店のコンセプトと木炭塗料の効果が一致、店主の伊藤浩さんが導入を決めた。「お客さんからも居心地がいいと評判です」と満足気に話す。たばこでモクモクになるパーティーの翌朝も店内はスッキリしているという。
施工した中川社長は「木炭
は遠赤外線を出しており、空気中の水分をプラスイオンに分解、マイナスイオンのいやな臭いや化学物質とくっついて下に落ちるため」と理由を説明する。施工費用は状態によるが一平方m当り二千五百円が目安。防蟻防腐用の木炭溶剤「ヘルスコ・キュアー」も取り扱っている。
問い合わせは084・972・2846同社まで。


ジャパンアメニティが防音リフォーム「ベースボールスター」

水道工事、リフォームなどのジャパンアメニティ(有)(三原市古城通1-192-3、資本金四千万円、森川純一社長、TEL0848・67・7333)はこのほど、遮音効果が高く野球のバッティング練習などができるトレーニングルームへの住宅リフォーム「ベースボールスター」を商品化した。
八畳間で、プロ野球選手のトレーニングルームで実際に遮音用に使用されるものと同レベルの二重壁、二重窓、二重扉と、室内を覆う保護ネット、土のグラウンドなどが基本仕様で坪五十六万円から。軟球、硬球、ソフトボールなど各種ピッチングマシーンやトスマシーン、姿見の鏡、ロッカー、シャワールーム、ピッチングマウンド増設、フォーム矯正ビデオシステムなどオプションでさまざまな機能の追加が可能。同じくオプションのビジュアルシアターでは、実際の球場で打席に立った感覚を実感できるようにプログラムされた映像システムで、リアルなイメージトレーニングができるという。
バッティングセンターのない尾道、三原で、地域のリトルリーグやソフトボールチームの選手がバッティングを集中的に練習する場所が確保できるようにと商品化した。また国内外でのプロ野球選手の活躍が、幼少時から自宅でのバッティング練習やバッティングセンター通いを背景としている事例が紹介されていることも併せ、子どものスポーツ教育に熱心な家族をターゲットに、初年度五件の施工が目標。同社ホームクリエ事業開発部の西原愼哉企画室長は「基本仕様だけでも充分に練習効果のあるルームになります。野球で育った世代が、子どものバッティングフォームを直接見てやれることで、親子の会話も増えるのでは…」とPRしている。
さらにリトルリーグやソフトボールの盛り上がりが、野球ファンの裾野を広げることにつながると、この地域からの観客動員数増加を狙うプロ野球チーム広島東洋カープの広島市民球場(広島市)広報部と連携。カープ主催試合観戦と、ベースボールスター同様の設備での実体験を兼ねたバスツアーなどで営業を展開していく。同社の森川純一社長は「リトルリーグなど野球チームに所属していても、幼いうちは球拾いや雑用などでボールを打つ機会が少ない。バットの芯でボールを捉える練習を積み重ねることで野球の楽しさを実感できれば、球場へ足を運ぶきっかけにもなるはず」と話す。
また「ベースボールスター」は遮音が基本。「ワールドスポーツブランド」とのコピーで野球だけでなくゴルフやサッカー、フィットネスルームなどの要望にも対応する。そのほかグランドピアノなど楽器のトレーニングルームなど、応用範囲が広いリフォームとしている。


新栄グループが三原にフォレストセレモ新栄会館

各宗派葬儀、法要、慶弔花輪、各供物の新栄葬祭(豊田郡本郷町船木1543-5、中嶋修身代表、TEL0848・86・4441)はこのほど、低価格の葬祭式場「フォレストセレモ新栄会館」を三原市宮浦三―一二―三にオープンした。
自宅葬規模の葬儀がメーンで、特徴は低価格の施行。従来の互助会と異なるシステム「新栄友の会」で生前予約の獲得を目指す。一万円の終身会費で「新栄友の会」会員になることができ、自宅葬が半額、また祭壇料が半額になるほか、十万円値引きなどの特典があり、現在会員を募っている。また会員増強のため、明治、大正生まれの人に限り年内に入会すれば、「慰労」の気持ちを込め同会館利用を条件に祭壇料を無料にするサービスも実施中。病院から自宅への遺体搬送も二十四時間受け付けている。問い合わせ、申し込みはTEL0848・67・4441。
宗派は問わず施行する。また無宗派層も取り込めるよう、大きな遺影、効果的な照明で故人の面影が偲ばれるよう工夫を凝らし、月五件の施行を目指す。
住宅密集地からアクセスの良い立地で、第一、第二駐車場を併せ約百二十台分の駐車スペースを確保している。二階建てで、一階は祭壇、ホールで百五十席、二階は和室、会食室など。
新栄葬祭は、業務用総合食品卸、販売の新栄食品、贈答などギフトの新栄など(有)新栄商事が展開している事業。


高額所得番付−備後地区は27人減の354人

平成十三(2001)年分の申告所得税の高額納税者が十六日、全国一斉に各税務署で公示された。
全国で公示対象(納税額が一千万円以上)となった人は七万九千八百三十八人で前回(平成十二年分)より百四十人減少、保有株式の譲渡所得による納税、いわゆる「株長者」が前回の四十九人から二十七人と大幅に減った。
備後地区六税務署(福山、尾道、三原、府中、竹原、笠岡)管内の高額納税者は三百五十四人で、前回より二十七人減少、平成四年以来八年振りに増加した前回から再び減少に転じた。中国五県でも公示された人は、前回より百一人少ない二千九百十四人だった。広島県は二十人少ない千四百十人、岡山県は三十人少ない六百五十五人、島根県だけが二人多い二百十八人だった。
備後地区の税務署管内別では福山が九人(五%)減の百八十八人、尾道が六人(九%)減の六十一人、三原が七人(二四%)減の二十二人、府中が増減なしの四十二人、竹原が一人(七%)減の十三人、笠岡が四人(一三%)減の二十八人だった。増減は前年対比。全体として企業家の減収傾向が見られる。

備後地区ベスト10では、青山商事(株)会長の青山五郎氏が一億三千百七十三万円を納税して前回に続いてトップ。(株)エフピコ社長の小松安弘氏が九千万円で二位(前回三位)、中国パール化成(株)社長の三宅勉氏が八千百六十三万円で三位(同四位)、西クレジット(株)社長の金光冨男社長が七千八百四十五万円で四位、神原造船(株)役員の神原比路子氏が七千四百二十八万円で五位に入った。



こぼれ話  2002年5月20日号

商売を教える秘伝書で おのみち帆布順風満帆

ミシンを踏んで次々に生産しても注文に追いつかない。電話台にぶら下げられた注文伝票は、順番待ちの列をつくり、まだかまだかと風の力を借りて催促している。尾道本通り商店街のとある店舗の風景だ。
尾道市内(向島)の工場で、昭和九年から同じ製法によって生産され続けている帆布を素材にバッグなどの身の回り品を生産している。名前はすっかり有名になった「工房おのみち帆布」。市内で喫茶「ケープタウン」を経営する木織雅子さんが四月二十一日、夢を形にした空間だ。
木織さんは「注文が多いというより作り手不足」と笑う。広島県中小企業家同友会の研修会で工場を見学したのが帆布との出会い。同友会の女性メンバーを中心に、古の尾道港を檣林で埋めたであろう、帆布をまちづくりの素材に選んだ。
平成十二年夏、閉校になった筒湯小学校の校舎と校庭を舞台に「尾道帆布展」が開かれ、尾道帆布に注目した取り組みが本格化した。武蔵野美術大学、多摩美術大学といった東京の美大生に呼び掛け、帆布を素材にした芸術作品の制作合宿といった手法で実現された展覧会は、制作中の学生と訪れた人との交流が作品にも反映されるという一風変わった企画が参加学生に受け、美大生仲間で話題になるという思わぬ効用をもたらしている。
昨年は尾道から船で渡る周囲約四キロの小さな島、百島が舞台。前回と同じく使われなくなった中学校校舎と校庭を美術館に見立て、海とのどかな集落とセミの声を背景に自由奔放な制作活動と展示が行われた。
その模様は今年三月、「第二回尾道帆布展記録集」と題した冊子にまとめられたが、創造の世界に惹き込む見事な力を綴じ込めている。
今回初めてつくられた冊子は、A4判四十五ページほど。巻頭で帆布工場の紹介や百島の地理を紹介、東京、倉敷から参加した美大生十七人の制作過程と作品はフルカラーの写真で紹介し、作者の思い出をからませ、作品の息づかい、血の温かさまで伝えている。
「東京で生活している私には驚きの連続。自分のひ弱さにびっくり。…私はここで強くなると決心し、作品に取り組んだ。…今、とても帆布展に参加できた事を誇りに思い、感謝しています」とは内田瑞穂さん。「帆布工場の皆様、これからも末永くお世話になります。握手を」と福森優太さん。「島の人が『あんたのやってる事は分からん』と言いつつも毎日散歩の途中に寄ってくれたりした。この濃密な人との距離感はコワクもあり非常に心地良くもあった。この公開制作はこれから私が美術なるものを制作発表していく時にスゴク影響を与えるという予感がある」と松本恭吾さん。
冊子は学びに満ちている。冊子から学んだことを実践している「工房おのみち帆布」だからこそ、注文書が後押ししているように思える。木織さんは帆布商品をつくってくれる作り手も募集している。冊子は芸術を伝えているようで、実は商売も教えている。冊子は非売品。ご興味の方はTEL0848・24・0807工房おのみち帆布まで。(J)

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