びんごトピックス  2002年7月1日号 
 
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ニチエーが沼南店を新築移転

(株)ニチエー(福山市南松永町2丁目19-31、資本金八千万円、小林一之社長)は、沼隈郡沼隈町草深1995-1に開設しているニチエー沼南店南側に建設を急いでいる新店舗が近く完成するため、七月十八日オープンを決めた。現在の沼南店を全面移転する。
新店舗は、敷地八千九百九十六平方mに、鉄骨造り平屋建て千九百六十二平方mの店舗を建設したもので売場面積九百九十平方m、駐車場の収容台数は約百八十台。現在の店舗に比べ売場面積は約三割増床しており、駐車場はほぼ倍増した。店舗の天井を高くし、照明効果を高めるため陳列棚へ照明器具を設置、明るさと清潔感をアピールする設計を採用している。
売場は生鮮食品を品揃えやスペースを広げるなど重点的に強化する。全体的な商品構成の食品九〇%、日用雑貨一〇%の比率は変わらない。
オープン初年度の年商売上高は十三億円を見込んでいる。なお、現在の店舗はテナント店舗に転用し、地場の衣料品スーパーへ賃貸する計画で話が進んでいる。また、店舗面積のうち約一千平方mを将来の売り場増床に備えて空床として確保している。
新店舗の設計は(有)松本建築設計測量事務所、施工は大野建設興業(株)。
今回の店舗新築移転は、隣接地に(株)ハローズ(福山市、佐藤利行社長)が沼南店を出店することに対応したもの。ハローズは、隣接地九千六十一平方mに、鉄骨造り平屋建て二千六百九十二平方mの店舗を建設しており、七月末にもハローズ沼南店としてオープンする予定。
ニチエーは、昭和三十四年三月創業、会社設立は三十七年七月、今年創業四十三年を迎えた。食品主力のスーパーで、福山市内に、さんらいず店、柳津店、瀬戸店、三原市内に江南店、宮浦店、沼田東店、沼隈町に沼南店を展開している。平成十三年五月期では、売上高七十八億七千二百二十六万三千円、申告所得額四千七百六十九万四千円、当期利益三千十三万四千円を計上している。


工作教材ロボットや環境クイズを商品化

府中商工会議所が昨年度から実施している商品開発チャレンジ研究会の環境部会として商品開発を進めてきた山本鐡工所(株)、(有)よみうり府中、(株)オガワエコノスの三社は、開発した小学生向けリサイクル体験キット「電池レスキューロボックス」とごみ分別学習などができるゲームソフトが、先日開かれた府中産業メッセでも好評だったことを受け、本格的に受注生産を始めるため準備を進めている。
「電池レスキューロボックス」は、家具メーカーの廃材を利用した、縦二三・五センチ、横一五センチ、奥行き一〇センチの箱型ロボットの工作キット。ゴミとして出す際に分別する必要のある電池がまだ使えるかどうか調べるもので、テスターの手で電池を挟み、ロボットの目となる豆電球が点灯しなかった場合、ロボット上部のふたを空けて投入、体内のゴミ袋に貯められていく仕組み。ボタン電池は口から投入、ロボット内に直接貯まる。家庭や学校教育の中で、電池を確実に分別できる工作を体験することで、リサイクルや環境問題に関心を持ってもらうのが狙い。
また「ごみ捨てゲーム」「リサイクル活動支援ソフト」が楽しめるCD―ROMも商品化。約千二百ある「ゴミ」群から、一回に付き無作為に十項目を出題。府中市のゴミ分別方法に従い「可燃ゴミ」「資源ゴミ」「収集しない」などの項目をそれぞれチェック、正解数に合わせた評価が出る。何度でも繰り返し遊べるため、クイズ感覚で学習しながらゴミ問題への関心を高めることができる。広島県東部工業技術センターの協力を得て開発した。現在ゴミ分別の基準は「府中市仕様」のみだが、今後は県東部など各自治体の基準に合わせソフトを改造する。「リサイクル活動支援ソフト」は、アルミ缶など資源ゴミの重量に対しその金額を算出、目標額を決めてゴミ拾いを実施するなど、学校での取組みの一貫として利用できる。各教室へのパソコン設置が進む現状にもマッチした商品として、市内学校の教室単位での受注を見込む。
「電池レスキューロボックス」は組立キット一セット千五百円(内税)、ゲームCD―ROMソフト二本込み一枚千円(内税)で販売。工作キットとゲームのセットなら五百円引きの二千円(内税)となる。受注生産で、環境問題への配慮から簡易包装で発送する。
両商品とも小学校中学年以上を対象に、総合学習での利用をPRしていく。同部会本部となるオガワエコノス(株)企画室の松谷英雄課長は「ゲームは一クラスに一枚、ロボックスは一家に一台置いてもらえるよう育てたい」と話している。
同部会は今後「地球環境レスキュー隊」として活動を継続、七月末までにホームページも開設し、廃物利用のアイデアや、ソフト改良への要望を受け付ける計画を進めている。問い合わせは(株)オガワエコノス企画室TEL0847・40・1278


農作業衣料の細川センイが商品拡充

農作業衣料製造の細川センイ(有)(福山市駅家町今岡103、細川晃社長、TEL084・976・3166)はこのほど、主力の農作業衣料に加え男性カジュアル衣料、さらに婦人のカットソーなど商品の幅を拡大、積極展開を図っている。
同社の農作業衣料は、全国のホームセンター、ワークショップのほか、通信販売などで全国シェアの半分以上を占めている。定番ものは年間通して在庫を切らさず、出荷は一枚から一万枚まで即納体制を整えている。しかし従来品だけでは売り上げが落ちることから、今後メンズなど新企画の商品を開発、在庫金額はそのままで売り上げを上げていくのが狙い。
同社は製品の四〇%を海外で製造、中国の縫製グループヤンガーとの取り引きから現地で直接生産できるのが強み。同じく新企画の婦人カットソーは、細川社長が直接歩いて探した韓国のルートから仕入れる。今後さらに「実用衣料のレンジならなんでも作る」体制を整えていく。同社長は「売れる品物を揃えるのが経営者の役割り。営業が売れなければ自分が責任持って売る。小ロットで利幅の取れる商品、スケールメリットで利益を出す商品をしっかり見極めて生産し、市場に投入していきたい」と意欲を話す。


オーダーメイドサイト「ジーンズ工房」が好評

電動工具部品製造加工、Iネット事業などの清滝物産(有)(府中市土生町1024-1、資本金六百万円、池田猛社長、TEL0847・43・4810)が運営するIネットでのオーダーメードジーンズ販売サイト「ジーンズ工房」が好調、このほどデニム生地を使用しバックや帽子などのブランド「HONEY BEE―BEE」を主宰する地元のデザイナー槇埜優里さんの作品の紹介も始めるなど、商品を充実させている。
清滝物産インターネット事業部の池田貴秋さんが二年前に起ち上げた「ジーンズ工房」(アドレス=http://www.fuchu.or.jp/~seiryu/)では、これまで(株)ヤスダ(府中市目崎町)の「セキュラシッド」と、ハチダイヤ(株)(芦品群新市町)の「XGames」、オーダーメードと定番もののジーンズやTシャツの受注生産、販売が中心。それぞれ「セキュラシッド」はオリジナルジーンズ、「XGames」はスケートボードやモトクロスなど若者に人気のエクストリームスポーツのファン層に的を絞ったシャツやパンツのブランドで、コンスタントに受注があるという。
今回新たに加わった「HONEY BEE―BEE」は、独立して間もない二十一歳のデザイナー槇埜優里さん(府中市久佐町218-25、TEL0847・49・0174)がデザイン、製作するバッグや帽子、財布などのブランド。地元の縫製企業などで余ったデニム生地や糸を利用、パッチワークなどで「リサイクル」。「持っている人が幸せになるよう、元気が出るよう」(槇埜さん)、オーダーの際のメールの文面などからイマジネーションを膨らませ、カラフルなものからシックな色合いなものまで製作する。
ブランド自体は創作活動を行っていた学生時代からのもので、これまで広島の商店街でも作品展を開催、オーダーメードバッグのリピーターも多く、幅広い年齢層のファンが定着。ジーンズ工房では、トートバッグ、ミニボストンバッグなどの製品を紹介。今後も新作が出来次第、同サイトで発表していく。また、好みの生地や着用できなくなったジーンズ、ジャケットなどで発表作品と同型の製品を作る「プチオーダー」も受け付ける。槇埜さんは「HONEY BEE―BEEのバッグを持っている人を見ました、という内容のメールに、非常に勇気付けらます。リサイクルとしても興味をもってもらえる作品。まずは実店舗が目標」と意欲を話す。
槇埜さんの作品は清滝物産のパソコン教室に通う生徒らにも人気で、社内に展示するとすぐに売れてしまうという。今後、ブランドや新作品に関する情報などを掲載し希望者に配信する予定のメールマガジンや、掲示板開設で各ブランドをバックアップしていく池田さんも「このサイトを窓口に、大きく育ってくれたら…」と期待する。
ジーンズ工房では、オーダーメードジーンズのほかにも、デニムを使ったランチョンマット、リースや木の置き物といった作品の紹介も検討、さらなる商品の充実を目指す。また同サイトを通じて自分のブランドを紹介したい人を募集している。



こぼれ話  2002年7月1日号

服部川を輝かせるスター ホタルとともにすくすく

六月二十日、家族でホタルを見に出かけた。御調郡御調町内の山深い場所だが、時期が遅いため、乱舞を見ることはできなかった。昨年より多い約四千五百人の人出でにぎわった服部ほたる祭りは六月一日だったから随分と遅かった。
しかし今年も異常気象。五月は異常に暑い日が多く、早い夏の訪れを感じさせたが、六月は降雨量が例年の半分以下という梅雨。ホタルも出番を戸惑っているのでは?と思いきや、服部では昨年よりも多く飛んだようで、ホタルの舞いは若干のロングラン公演となったそうだ。今の時期はもう飛んでいないという服部地区(福山市駅家町)にある「ほたるの館」の佐藤仁志館長も「気候が合ったのでしょう。全国的に多いと聞いています」と話す。
近年は優雅で心和む姿がますます人気のホタルだが、もう一つの人気の秘密は自然環境のリトマス試験紙といった役割。「ホッホッホータル来い、こっちの水は甘いぞ」と歌われるように美しい水環境のシンボルキャラクターでもある。服部地区はこの人気に着目して、それまでバラバラだった自然環境を守りたいと思う個の力を結集させ、数々のスターがすくすくと育っている。
昨年、十年の歴史を刻んだ服部のホタルへの取り組みは、昨年末に地元有志が編集、発刊した「服部百年史誌」に詳しい。一九九九一年、公民館の立て替え時に古い建物を残してホタルを飼育する話が持ち上がったことに端を発している。服部地区の町はシンボルの服部大池までわずか七、八キロという服部川を中心に発展しているが、服部大池は知られる通り、福山藩主の水野勝成が命じて一六四五年に完成した日本屈指の灌漑用ため池。福山が水を大切に考えたシンボルでもある。そうした歴史背景を持つ服部川も、流入する生活排水の汚れは食い止められず、きれいな川、ホタルの里を取り戻すべく、活動を始めた。
家庭排水をきれにする運動の一つには合成洗剤を止め、石けんを使用する運動もあった。都市化が進んだ福山のベッドタウン化も進んだ服部ではなかなか進まない。それでもゴミを捨てない、流しからできるだけ食品カスを流さないなど、可能な生活習慣の改善に努め、平成十一年には環境庁長官表彰も受賞。公民館を改装した「ほたるの館」でもホタルの飼育が繰り返され、パネル展示やスライド、ビデオ等資料の充実も進んだ。幼稚園児を招いたり、ホタルを通じて自然環境の大切さを伝える拠点としての役割も果たしている。
飼育器の中では来年のスターを夢見る一万五千匹の踊り手(ホタルの幼虫)が育っている。長さは約五ミリ、醜いアヒルの子以上にグロテスクな容姿だが、一センチほどに育つ秋には服部川へ放たれる。来年の公演予定は天候次第だが、五月末から六月十五日ごろまで。観賞は無料だが、自然への思いやりが何より踊り手の気力を高める。公演期間はわずかながら、思いやりが必要な期間はエンドレス。十一年を経て水際を舞うスターたちも、また、思いやりを輝かせるスター(子ども)たちも服部で確実に育っている。(J)

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