びんごトピックス  2002年7月10日号 
 
表紙写真


中国銀行が備後地区本部を新設

中国銀行(岡山市丸の内一丁目15-20、永島旭頭取)は、七月一日から、広島県東部の福山市を中心とする備後地域の営業力を強化するため、福山市紅葉町1-1で、福山支店が入店している「福山ちゅうぎんビル」四階にテナント入店して備後地区本部を新設する。スタッフは常務取締役地区本部長をトップに副本部長に福山支店長を兼務させ、営業推進担当部長と四人の七人体制とする。
地区本部では融資相談役の新設、ブロック駐在ファイナンスアドバイザーの新設、地区内の営業活動指導・督励を行い、各営業店の業績向上を図る、融資推進など個別案件について、具体的な相談・支援を行う、流動化商品、M&Aなど専門知識を必要とする案件の支援など営業店支援の強化、取引先への直接渉外、リスクコントロールされたスピーディーな審査を行うための地区内の与信審査、営業店指導を実施する、その他地区内における人事、施設、経費の営業店経営に関する相談の受付、処理、本部関連部門間との連絡調整も行う。
地区本部の対象地区は備後地区で店舗数は二十五店、平成十四年三月末の実績は、預金残高五千四百二億円、貸出金残高四千五十七億円。


イーストワンのHP「e―じゃん」で夏祭り

Iネット事業の(有)イーストワン(福山市南蔵王町王町5-22-40、資本金三百万円、本川春美社長)は、同社運営の中国・韓国の現地情報を紹介するサイト「上海ソウルリポート週間e―じゃん」(アドレス=http://east-01.com)で「夏祭り」を企画、閲覧者へのプレゼントとして景品を提供する協賛企業を募集している。
「夏祭り」の期間は八月一〜三十一日の一カ月間で、閲覧者はサイト内に作られた打ち上げ花火の画面からプレゼントに応募でき、そこからリンクしたページで商品情報と協賛企業のHPアドレスを記載する。期間中三万アクセスを見込んでおり、既に韓国の大手食品メーカーの株式会社オトゥギ(ソウル市)も二百七十アイテムの協賛を決定、商品もイーストワン事務所に発送済み。地元企業からの協賛を含め、延べ五百人へのプレゼントを企画している。同社の本川春美社長は「閲覧者に童心に帰ってもらう花火の企画で、地元企業の商品PRにつながれば…。人気は食品や嗜好品です」と話している。問い合わせは同社рO84・945・8912まで、七月二十日まで受け付ける。
同サイトは今年二月の開設以降、既に六万アクセスを突破。日本、中国、韓国のカップラーメンやマヨネーズの味を閲覧者に判定してもらう「三カ国グルメ対決」や、中国、韓国の日用品の値段を当てる「お値段当てクイズ」などの人気企画で、閲覧者参加型サイトを構築している。企画告知や、韓国で関連会社を経営する同社長が現地でのビジネスの中で感じたことを連載するメールマガジンも、既に一万二千会員を超え、広告媒体としての機能を充実、閲覧者のさらなる増加と地元産品のPRも兼ねた「夏祭り」を企画した。
他にも川柳投稿コーナーや、サイト内で紹介した中国、韓国の食品などを閲覧者の希望に合わせ現地価格で販売する「お使いルーム」など、Iネット初心者でも気軽に参加できる企画を実施している。メールマガジンも年内に二万会員が目標、既に始めているモニター代行事業を本格化していく体制を整える。


尾道さつき会が20周年

尾道市で始まり、向島町、御調町にまたがる知的障害者授産施設の設置経営、高齢者福祉施設経営、福祉サービス提供にまで規模を広げている社会福祉法人尾道さつき会(青山澄子理事長)は六月三十日、JR尾道駅前のしまなみ交流館で「創立二十周年記念式典」を開いた。
式典の来賓には衆議院議員の亀井静香、佐藤公治の両氏が出席。同じく宮沢喜一、宮沢洋一、参議院の溝手顕正、柳田稔の各氏も代理で秘書が出席。県からも伊藤隆雄知的障害者福祉室総室長(知事代理)、地元及び近隣選出県議会議員五人、地元から亀田良一尾道市長、杉原孝一郎向島町長、若林茂生御調町長らが壇上の来賓席に並んだほか、福祉及び奉仕団体の関係者多数も祝いに駈け付けた。
青山澄子理事長が「障害を持つ子どもに『かわいそうに…』と声を掛けてしまった。以後は同じ目線に立つよう努めてきた」と福祉にかかわり始めた当初を振り返り、「新しい考え、知恵を期待して若い世代にバトンタッチしたい。もちろん基本理念に変わりはないので今後ともよろしくお願いします」と七月一日から青山興司新理事長へ交替することを報告するあいさつを行った。
功労者と支援団体への感謝状贈呈後、来賓を代表して亀井衆議院議員が「今は残念ながら資本論の世界。弱肉強食で弱い人、恵まれない人への配慮が足りない。日本でも残念ながらそうした風潮があり、政治家として責任を感じている。どうやればうまくやっていけるか。青山興司新理事長は岡山大学を場に生体間移植など世界的な実績をあげている方。期待したい」と祝辞を述べた。
続いて広島県知事の祝辞代読、亀田尾道市長の祝辞と続き、記念に制作されたCD―ROMの大型スクリーンでの紹介があった。CD―ROMは項目をクリックすると詳細画像と説明が現れる仕組みで理事長あいさつ、宮沢喜一衆議院議員らの祝辞、組織や施設、各作業所で作られる箸置き、ハガキ、クッキー、パン、カレンダーなどの作品や商品を紹介している。
また、尾道さつき会の概要を伝えるパンフレットも作成され、エンジンルーム村上が撮影した写真を中心に施設利用者の笑顔で各施設を紹介している。また尾道さつき会のホームページも開設した。
式典は青山澄子理事長への花束贈呈でクライマクックスを迎え、開設当初からの施設利用者が詰まりながらも自らの言葉でお礼を述べ、利用者代表が次々に花束を贈呈。青山理事長が手を取って「この子は最初からいた子。こんなに大きくなりました」と紹介すると、会場は拍手と感動の涙があふれた。
式典に続き、日本の障害者福祉では第一人者で旭川荘(岡山市)の理事長を務める江草安彦氏が「地域の福祉力」と題して記念講演。続いてグリーヒルホテル尾道に場所を移して祝賀会を開催。施設利用者で構成するはねっこ太鼓で約百六十人が節目を祝った。
尾道さつき会は昭和五十三年五月に無認可作業所を設立、五十七年六月に法人認可を受けた。現在は障害者関連施設のさつき作業所、サンホーム、むかいしま作業所、すだちの家、第2すだちの家、サルビア荘、陽だまり荘を経営、百五十四人の利用者がある。高齢者関連施設は星の里、ケアハウス星の里の二施設で六十九人の利用者があり、デイサービスや老人介護支援、福祉用具貸し出しなどの事業を行っている。法人本部は尾道市久保町一七八六(рO848・37・7272)。


宅地開発も計画する「本郷を良くする会」設立準備

豊田郡本郷町船木で賑わいを取り戻そうと、「子どもの声が聞こえる街づくり」をスローガンに、若い世代の購入を見込む低価格宅地開発事業を行う「本郷を良くする会」が設立の準備を進めている。
全国でも休耕田の割合が多い広島県の中で、本郷町でも休耕田が目立ちながら有効な土地利用が見出せないのが現状。そこで同町舟木中筋地区で農業振興地区からはずれている地域の農地を低価格で取得し、坪十万円以下で販売し、若い世代に住んでもらえるよう宅地開発を行う「本郷を良くする会」を起ち上げる。地主や不動産業者、建設業者、土地設計士など八人が実行委員会の世話人として設立を準備中。葬祭事業などの(有)新栄商事(豊田郡本郷町船木1543-5、рO848・86・4441)の中嶋修身社長を代表世話人として近く設立総会を開く。年内を目途に売り出しを始める計画。
既に同会の重点スローガンとして(1)より良い伝統を後に遺していくのが今を生きるものの使命である(2)夢を持って子育て・子育ちが出来る街づくり(3)地域住民と子供達が連携・融合できる街づくりC共同菜園場確保、などが素案として挙がっている。
設立準備と並行して土地取得の交渉を進めているのは、県道と山陽本線の間、山の谷部分の約七百坪。交渉は順調で、既に道路部分の設計も完成している。一軒あたりの土地は、駐車スペース三台分と庭も広く取れるよう八十〜百坪を予定、年内には六軒分の敷地として造成を終え、販売を始めたい考え。高齢者との同居の際の有利な融資制度をPRしながら、これから子育てを始める若い世代の購入を見込む。同地区は、近隣の小学校まで徒歩二十分以内、山陽道本郷インターまで車で五分、新広島国際空港まで十分。
同会設立後も、同様な谷部分で数百坪単位での土地取得交渉を続け、船木中筋地区で年間十世帯ずつ、最終的には百世帯増やすのが目標。代表世話人の中嶋修身さんは「もてあましている農地が旅行費になる、というくらいの気持ちで、街づくりに参画してもらえれば…。住民自らが街の将来像を描く活動で地域の活力増大につなげたい」と意欲を話す。



こぼれ話  2002年7月10日号

苦しい今がチャンス! 文化こそ地方発展の素

沈滞する関西経済にあって絶好調の吉本興業。日経新聞のコラム「私の履歴書」の前回連載は吉本興業会長の中邨秀雄氏で、大阪府立上方園芸館(ワッハ上方)が閉鎖の危機に合い、存続に動いた逸話が紹介されていた(6月28日付)。
その中で「文化をないがしろにして国が発展した例は歴史上、存在しない」と役人を口説く口上に迫力があった。現在、長期化するバブル崩壊の不況は、見方を変えれば、日本文化をないがしろにしたツケの精算とも思え、西洋文化を取り入れるために、日本文化が衰退した結果とも言えなくもない。
東京は国内へ西洋文化をばらまく拠点だが、日本人気質によって支えられてきた国内技術を世界へ発信する中継地でもある。今の不況が続けば地方に存在してきた日本人気質がなくなり、東京が売り物にしてきた基盤(国内技術)が揺らぐ。
ワッハ上方が地方自治体の財政赤字で閉鎖が検討された事象は、今の日本の象徴だろう。文化を育てるはずの地方自治体(みんなでお金を出し合って一人ではできない文化を継承、発展させる組織)が、地方の文化を破壊して西洋文化の売り子になってきた戦後日本の社会システム。戦争に走った理由付けを西洋文化の不足と偏り過ぎた。
湿気の多い夏の会議にネクタイはそぐわない。夏祭りや夜店にはゆかたや甚平が気持ちいい。和服の会議をやれば、もっと和風のアイデアが生まれやすいはず。ゆかたコンテストも盛んになった。各種団体はゆかた例会もやっている。そろそろ官が和をリードするときではないか。経費節減で室温設定を高めにすることが文化ではない。古来、日本人は暑さを文化で凌いできた。襟元から熱を逃がし、打ち水をしてすだれ、風鈴、水音で涼を呼んだ。
中国経済産業局の田辺局長は積極的に自治体がベンチャー製品を購入すべきと説いた。今後成長すべき産業の製品を自治体が積極的に購入する意気込みは時代の要請でもある。備後絣の甚平はどこにいったのか。ゆかたや下駄や福山琴を地域社会がどう評価するのか問われている。特に教育は心配だ。メーカーが和風製品をつくっても受け入れる消費者を育ててこなかった。甚平は粋ではなく、おじんの象徴になっている。
福山では能楽師の大島衣恵さんが子どもたちの能教育に努めている。この春シテ方になったばかりの衣恵さんはこれからが売り出し、総合教育が時流の今後を考えれば、引っ張りだことなるに違いない。他の地域で活動が本格化すれば福山市内での活動は難しくなり、市内の子どもたちが水野勝成ゆかりの能に触れるチャンスも失われる。
文化は人が担い手。能に限らず、継承者の年齢や立場によって制限がある。長期的な発展をにらめば、地方文化(技術)は今が待ったなしのぎりぎり。そしてまた、地方自治体の財政も今がぎりぎり。経営の鉄則から言えば、苦しいときにしか本当のチャンスはやって来ない。産官学の連携で文化から利益を生み出す仕組みづくり(消費者づくりも含め)が求められる。(J)

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