びんごトピックス  2002年9月10日号 
 
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ハローズが株式を店頭市場に公開

二十四時間営業の食品スーパーマーケット「ハローズ」を展開している(株)ハローズ(福山市南蔵王町6丁目26-7、本部=深安郡神辺町、資本金二億九千三百五十万円、佐藤利行社長)が、九月三日、ジャスダック(店頭)市場に株式を公開した。
バブル後最安値となる逆風の中での株式公開だったが、初値は七百六十円で、売出価格七百円を上回った。株式公開による手取り資金は新規出店資金に充てる。
同社は、昭和三十三年十月、府中市に(株)府中スーパーマーケットを設立、食品スーパーマーケットを創業、福山市を中心に店舗展開を進める。
昭和六十三年三月、CI導入で社名をハローズに改称、平成六年、九百平方m規模のスーパーマーケットでは全国でも例の少ない二十四時間営業店舗を引野町に導入した。その後、神辺町、尾道市にも出店、平成十三年、神辺町に本部・物流センターを完成、県東部エリアから岡山県に進出、倉敷市に一号店となる広江店をオープン、十四年三月に連島店、四月には新倉敷店の三店を相次いで開店した。さる七月に沼隈町では初の沼南店をオープンさせ二十店舗とした。現在では二十四時間スーパーとして知られ、二十店舗のうち十七店舗が二十四時間営業している。
十月には井原市井原町の国道三一三号沿いに井原店を新築オープンさせる。これは、株式公開による手取り資金が充てられる。
平成十四年二学期決算では売上高二百六十七億六千九百七十九万六千円、経常利益十億七百三十四万八千円、当期利益四億八千七百二十三万円を計上している。
さる四月十八日に開いた経営方針発表会では、二〇〇六年二月までには三十一店舗、年商五百億円を目指す計画を発表している。
今後の出店エリアは、備後地域から岡山県、兵庫県、四国の瀬戸内沿岸部への拡大戦略を展開する。
上位株主十人は、関連会社の(株)サンローズ三一・四五%、佐藤利行社長二二・二六%、佐藤国人氏八・三一%、佐藤太志氏七・〇七%、ハローズ従業員持株会四・七九%、佐藤伸子氏二・七九%、高松清氏二・二〇%、小田俊二氏二・二〇%、小塩登美子氏二・二〇%、花岡秀典氏二・一五%。上位十人で八五・四二%を占める。
役員構成▼代表取締役=佐藤利行、▼常務取締役=高松清、佐藤太志、小田俊二、小塩登美子、▼取締役=小島宏教、赤木鶴治、▼監査役=稲福康邦、石原広一、松本卿式の各氏。


松尾内科病院が機能評価の認定受ける

医療法人杏仁会松尾内科病院(三原市城町3丁目7-1、松尾恵輔理事長)は、八月十九日付けで、財団法人日本医療機能評価機構(東京都、館龍一郎理事長)から尾三地域の医療機関では初の認定証の発行を受けた。
県内の二百七十一病院中二十一番目、全国でも九千二百六十六病院の中でも僅か七・八%、七百七十五病院が受けている。認定証の受証は同病院の医療に対する信頼性を高めるものと期待している。県東部では福山市の脳神経センター大田記念病院、日本鋼管福山病院、山陽病院の三病院。
日本医療機能評価機構は、国内の医療機関の機能を学術的観点から中立的立場で正しく評価し、その結果明らかとなった問題点の改善を支援する第三者機関として、厚生労働省、日本医師会、日本病院会、日本歯科医師会、健康保険組合連合会など関係十二団体と一省が出資し、平成七年七月二十七日設立された。
松尾内科病院は、昭和五十二年七月開院、診療科目は内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、神経内科、放射線科、リハビリテーション科の七科、医師九人、看護婦・士約六十人、ベッド数百十床。平成三年には隣接地に介護老人保健施設三恵苑を開設、八十人が入所している。
休診は日曜日、祝日、木曜日午後пi0848)63・5088


藤鳶工業が汚泥の固化などリサイクル事業拡大

とび土木・解体工事などの藤鳶工業(株)(尾道市栗原町9650-9、資本金一千万、藤原照国社長)は、今年一月に完成した木質素破砕機を本格稼働、先に稼働を始めた汚泥固化施設などと併せ産業廃棄物処理事業を拡大している。
尾道市美ノ郷町本郷字大久保1175に開設した木質素破砕機は、家屋解体廃材、梱包廃材、大型廃材から樹皮まで、様々な大きさの木くずを日に二百t破砕処理できる。目の粗いボイラー用燃料や、より細かい製紙原料、堆肥原料など大きさの異なる製品を生産、商品化している。大型の長尺廃材の投入が容易なことが特徴。また廃プラスチックならば日に百五十二t破砕処理できる。
昨年夏、尾道市美ノ郷町本郷字梅木迫山892の同社リサイクルセンターに開設した汚泥固化施設は、含水率八五%以上の汚泥を乾燥、固化できるもので、日に汚泥四百五十立方mを処理できる。汚泥固化物は、日に六百四十tを破砕できるがれき類素破砕機で破砕、コンクリートなどを破砕したRC40と混合して、路盤材として再利用できる。産業廃棄物処分の許可で、汚泥の固化、破砕の許可を得ているのは県下では同社のみという。
同社は約三年かけ産業廃棄物事業を徐々に拡大。これで範囲は保管積み下ろしを含む産業廃棄物の収集運搬、コンクリート・木くず破砕、汚泥天日乾燥、焼却、汚泥固化の中間処理と安定型最終処分場となり、循環型社会へ対応していく体制が整ったとしている。


PCスペースが飲食店向け「売掛監視システム」開発

システム開発などのPCスペース(福山市春日町2-10-25、三成秀和代表、рO84・945・7890)は現在、バーやクラブなど飲食店向けの「売掛監視システム」の開発を進めており、広島市の飲食店事務代行業者と提携して来春から県内を中心に販売を開始する計画で準備を進めている。
同社が開発している「売掛監視システム」は、飲食店に特有な複雑な請求書処理を、コンピュータ設定で簡単に処理できるようにしたもの。明細書の日付、人数、商品の入力や変更が容易で、割勘処理にも対応、別々の日の売り上げの合算処理もできる。請求書に関しては、残高記入や日付印字、氏名印字の有無も登録すれば自動処理が可能。滞納検索では滞納者がリストアップされ、再請求が容易。顧客管理機能もあり、DM作成の宛名書きもできる。
飲食店を対象にしたサービスとして、同社独自のライセンスシステムを構築、サポート代込みで月々二万円以下の低価格で利用が可能。利用中止の際も買取りや残債はなく、リースやクレジットの必要がない販売方法を採用した。また月額使用料のみで、バージョンアップしたシステムも提供していく。
既に広島市の飲食店事務代行業者を中心に四百店以上の管理実績があり、同社が販売代理店となって来年春から広島県内を中心に全国に向け営業活動を展開、初年度は百システムの販売を見込んでいる。
PCスペースは、トラックの計量システム「トラックスケールシステム」や「売掛監視システム」などシステムの受託開発のほか、ホームページ制作、ネットワーク構築、パソコン組立などを主な事業としているSOHO。三成秀和代表は「大きな企業が入り込まない部分が当社の狙い。サポート報酬を主に、お客さんに合う契約形態で提供できるシステム開発を続けていきたい」と話している。また同社HP(アドレス=http://www.ne.jp/asahi/pc/space/)では、作成したフリーソフトやシェアウェアをダウンロードできる。



こぼれ話  2002年9月10日号

顧客の集中力アップで 自社の商品力もアップ

所用で福岡市に出かけた。博多のグルメと言えばラーメン。駅の案内で噂を聞きつけ、地下街の「一蘭」という店に入った。新聞、テレビでも取り上げられ、行列のできる店として有名な店だったが、時間帯のせいか空いていた。しかしラーメンの旨さ以上にシステムが面白かった。
暖簾を潜ると自動券売機。ラーメン券を買ってカウンターに進んでびっくり。座っている人に触れないように気を遣わなくてはならないほど狭いうなぎの寝床のようなスペースだが、奥に長いカウンターは一人席ずつ衝立で区切られている。
一列に並んだ丸いすの一つに座ると出走前に緊張感を高める競走馬の心境。目の前には二十センチほどの隙間を残して赤い暖簾が垂れ下がる。暖簾に書かれた説明によると、最高のラーメンを味わってもらうために集中力アップを狙った世界初のカウンターシステムとのこと。
カウンターの上には紙とボールペン。よく見るとその奥に呼び出しボタン。暖簾の置くから顔の見えない店員が元気な声で「いらっしゃいませ。お客様は当店が初めてでしょうか」とマニュアルに沿った統一感のある声で呼び掛けてくる。「はい」と答えると紙に書いてある質問に答えて注文用紙を完成させて欲しい旨の説明を受ける。麺の硬さやこってり具合、にんにくの多少など七項目を五段階ほどの中から選び、やっとこさマイ注文を完成させ、ボタンを押して用紙を引き取ってもらうと、数分でイージーオーダーのマイ好みラーメンが暖簾の下から出てきた。
待ち時間には「お待ちの間に当店自慢のゆで卵はいかがでしょうか」と注文用紙と引き換えにゆで卵を置いていった。お預けのような気分で百円の出費を踏み止まると、数分でゆで卵と引き換えにラーメンが出された。さり気ない商魂に感心させられながら、きょろきょろと店内を見回すと、今度は背中の壁に並んだポケットティッシュが目に入った。
「ご自由にお取りください」までは普通だが、「お客様からも好評につき、ご自由にお入れください」とある。手にしてみると消費者金融の広告が入ったポケットティッシュ。持ちつ持たれつの関係をお客さんのサービスに結びつけるアイデアにこれまた感心させられた。
どうやら博多発で東京の六本木と上野駅にも進出を果たした成功企業(全十一店のうち九店は二十四時間営業)のようだ。ラーメンの旨さもさることながら、味の追求だけでここまで成功できたかどうか。逆の言い方をすれば、味の追求を作り手の範疇にとどめなかったからこそ成功したように思える。
ラーメンに限らず、博多商魂は参考になりそうだ。競争時代に商品力アップは至上の命題。にもかかわらず改善できる着目点をどんぶりの中で終わらせていないだろうか。自社製品の改良点を一歩踏み出し、製品が使われる環境をも最高にする工夫があっていい。瀬戸田のジェラートメーカー、ドルチェも成功への道を歩みつつあるが、追求しているのは味以外の要素も視野に入れた「お客様の感動」。顧客が自社製品に集中できる環境まで提供することが駿馬が一斉にスタートする大競争時代をも抜きん出る秘訣に思える。(J)

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