びんごトピックス  2002年10月1日号 
 
表紙写真


動き出したJR福山駅前の伏見町再開発

JR福山駅の南で東側に位置する伏見町の再開発を計画している福山市伏見町市街地再開発準備組合(福原利捷理事長、百六十二組合員)は九月七日に開いた総会で地上四十階建ての超高層マンションや店舗、娯楽施設をメーンにした基本計画を承認、本格的に動き出した。
来年度に予定する都市計画決定までには権利者の三分の二以上の承認が必要だが、地権者の加入率が九十五%を超える準備組合の承認を得たことで、残る主な課題はテナント募集となった。しかしその点も手応えを得ている模様で、組合設立から十七年を経て平成十七年度着工、二十年度完成が濃厚な計画となった。
承認された計画は、再開発エリア二・八ヘクタールに鉄筋コンクリート造り地下一階地上四十階建てのビル(高さ百三十m)を建設。六階までにキーテナント、店舗、飲食店街、アミューズメント、シネマコンプレックス、スポーツクラブ、スーパー銭湯、クリニックなどを配置、七階以上を三百五戸の住宅とする。また、一画は十九階建として三〜十三階をオフィス、十四〜十九階をホテルとする。
別棟で地下に住宅用の三段式機械駐車(二百六十九台)と自走式十四層(千百十台)の駐車場を設ける。総事業費は約四百七億円。


県内初「ふれあい美理容サービス」がスタート

自宅や施設まで専門スタッフが来てくれる出張美理容サービス「ふれあい美理容サービス」が十月一日から県東部をカバーする福山エリアで始まった。専門スタッフによる同サービスの事業化は県内でも初めて。
「ふれあい美理容サービス」は(有)アッププ(福山市木之庄町3-1-18、資本金三百万円、奥迫光記社長)、(有)ユーティー企画(広島市、資本金三百万円、谷川行男社長)、(株)ユウワ(広島市、資本金四千万円、藤田真司社長)の三社が共同で事業化、今後、広島エリアでも始め法人化を目指す。
アッププは本社地で社名と同じ美容室「アッププ」を経営するほか、福山市元町一丁目の宮通り沿いで三階建てビルを借り切り、一階に花店、二階にバー、三階に美容室「バブー」を配置して若者をターゲットにした高感度スペースも経営中。
ユーティー企画はネットワーク設計から経理・総務事務代行までを行う経営コンサルティング企業。ユウワは中四国エリアを対象にした理美容材料卸業者。
出張理美容サービスは介護を必要としている人のほか、介護をしている人や妊娠中で外出が難しい人などが主な対象。理美容の資格を持ったスタッフとサポートスタッフのチームを組んで自宅などへ出向き、理美容サービスを行う。様々な状況に対応できるようスタッフの研修も重ねており、現在の体制は女性四人。
料金はカット二千三百円、シャンプー千二百円、毛染め四千円、パーマ(シャンプー、カット、ブロー付)六千八百円など。ほかに交通費実費(福山市内五百円)がいる。
質の高いサービスにこだわり、賠償責任保険への加入や器具の消毒殺菌はもちろん、毛髪、頭皮のカウンセリング、顧客カルテの作成、予約時間の厳守などを掲げている。
アッププの奥迫社長は「頭皮にやさしい薬剤を使用し、質の高いサービスを提供しますが、来店される場合より低料金です。店で腕を振るったスタッフでも定時勤務が難しくなって退社した人がいます。そうした人が地域社会に役立つ仕事として事業を支えてくれます。サービスを受けたい人とサービスを提供したい人を結びつけることができれば…」と話している。
予約窓口はフリーダイヤル0120・706・635。予約受付時間は土・日曜日、祝日を除く午前九時から午後五時。


伸鉄業4社が「エコバー」販売開始

全国伸鉄工業組合(理事長=村上達夫(有)鞆鉄工社長)広島支部ではこのほど、鞆や笠岡の加盟四社が共同で自社生産の鉄の丸棒や平鋼を用途に応じた長さに応じて切断し販売する「エコバー」産直販売本部を開設、全国の工務店や建材店、ホームセンターを対象に販売を始めた。
参加しているのは鞆鉄工(有)(福山市鞆町後地26-95、資本金千四百万円、村上達夫社長)、(株)笹田商店(同町後地26-182、資本金三千七百六十三万円、笹田誠社長)、八興伸鉄(有)(同町後地3457-2、資本金二千万円、奥村伸二郎社長)、光陽産業(株)(笠岡市新賀777、資本金四千九百五十万円、来山尊社長)の四社。エコバー産直販売本部は同町後地26-91に開設、本部長には村上達夫(有)鞆鉄工社長が就任した。販売するのは丸棒、鉄筋鋼、平鋼、角鋼、ステンレス平鋼などで、各種サイズを揃え、小ロット対応、直送での運賃負担で需要拡大を目指す。製品の素材となるのは廃材の鉄やステンレスで、加熱、圧延など加工に必要なエネルギーも小さいことから、経済的なリサイクル製品として循環型社会のニーズに応えることができるとしている。
具体的には異形棒鋼十mm、十三mm、平鋼三×十三mm〜九×二十五mm、角鋼九mm、十三mm、ステンレス平鋼四×十五mm〜五×二十mmを販売。単位は一本、一kg、一tを指定された寸法で直送、支払いは配達時の代金引き換え。
このほどホームページ(http://www9.ocn.ne.jp/~ecobar/)も開設。一般家庭の日曜大工や便利屋、農園などでの需要を見込み、全国のホームセンターや工務店など三千社にDMなどで営業を始めた。
月間二十万t生産の最盛期と比べ現在一万一千〜二千tに縮小、業者数も減少が続く伸鉄業界にあって約一年前から産地の強みをいかす事業を検討、素材や形状ごとに担当企業を決めて小口販売するシステムで業界の再興に力を注ぐ。同本部では「この業界では競争企業同士が一つの方向性を持って団結するのは珍しい。産地直送だから手ごろな価格が実現した。既に問い合わせも入ってきており、月間の販売目標は五百t」と話している。また実績ができれば、同組合の全国各支部にも提案していく考え。問い合わせはtel084・970・5520同本部まで。


道の駅「クロスロードみつぎ」は11月9日オープン

御調町が町役場前に建設を進めている御調町交流拠点施設「道の駅」名称「クロスロードみつぎ」の工事が順調に進み、十月二十五日に引き渡しを受け、十一月九日オープンすることが決まった。
この施設は、国道486号沿いで御調町大字大田33、国道184号が南北に交差する町役場前で、敷地八千三百十一平方mに主な施設として「図書館」と「交流ハウス」の二棟がある。ほかにバスターミナル、トイレ施設、駐車場はバス十台、乗用車八十台が収容できる。図書館は幼児から中学生までを主な対象に、約一万五千冊の書籍を置き、親子で楽しめる図書館づくりを目指す。交流ハウスは百二十平方mのレストラン、四十八席でメニューは三十種類を予定、昼間は八百円から千円のランチを中心に二千円程度のコース料理などが予定されている。地元の特産品などを販売する物産販売コーナーは、御調商工会の会員が出資して設立した(有)みつぎ交流館が運営、五人の女性を配置して初年度三千万円の売り上げを見込んでいる。売り場面積約百平方m、名称は「ほっとマルセ」。地元の農家が生産した農産物を直売する「野菜市」は一億五千万円の売り上げを目指す。
ほかに地域の情報発信基地の役割を担うインフォメーションコーナー、休憩コーナーなども設けられる。
クロスロードみつぎ前の国道四八六号は約五百mが拡幅工事が完成しており、現在は一日約九千五百台の車両が通行している。
名称の「クロスロードみつぎ」は、町民から募集した百三十七点の応募の中から選んだもので、国道184号と486号が交差することから名付けられた。古くは出雲街道と山陽道が交差していた地点。
十一月九日には県知事も出席する開会式もあり、九、十の二日間、御調町の主催する開業式や祝賀行事に協賛して、JA尾道市、御調町商工会が主催する「第十一回ふれあい秋祭り」も同所で開かれる。
商工会は食品バザー、商店の展示即売、喫茶コーナー、JAは農産物品評会、各種商品の販売、飲食バザーなど。九日(土)、午後七時から町民体育館ではオープン記念イベントとして、爆笑ライブステージ「ワキあいあい」が開かれ、ダチョウ倶楽部とデンジャラスが出演する。入場料は前売り二千五百円、当日券に千七百円。問い合わせtel(08487)6・0282=御調町商工会
共産行事としてゲートボール大会少年少女ソフトボール大会、グラウンドゴルフ大会など多彩なイベントが計画されており、二日間のオープン行事は多くの参加者で賑わいをみせる。



こぼれ話  2002年10月1日号

基準地価と実勢価格 ギャップが生む功罪

基準地価が発表されたが、商店街の実勢価格はさらに下落している。
尾道商店街は?―噂では坪当たり二十万円台が実勢価格で、極端な例では十万円台の物件もあったと聞く。もっとも土地には古い建物が付いており、古い建物をレトロな資産と見るか、撤去費用というマイナス材料と見るか、平地としての価格は噂によって違いがあるので鵜呑みにはできない。が、先ごろ尾道市が買取りを打診された明治生命ビルは百坪二千万円。公共施設として借り受けて来た経緯や、撤去する場合の費用(市はそのまま利用を検討)、商店街に広い間口を持つまとまった土地が少ないことなどを勘案する必要があるが、一つの目安になったのも事実だろう。
発表された基準地価によると尾道市土堂二丁目のアーケード商店街は一平方m当たり二十一万五千円、つまり坪当たり約七十一万円。商店街に土地を持っている人は大方坪当たり百万円の資産と胸算用しているとも聞く。百坪ほど持っている人はざっと一億円の資産家。しかし噂価格では二千万円。このギャップが様々なトラブル要因になっている。
百坪の土地を持つ商店主を想像してみよう。銀行が土地を担保に貸し出しを行う際の評価額が七割として七千万円を融資する。二号店出店のため、七千万円のうち五千万円を商店街内の別の土地購入に当て、残り二千万円を新店舗の開店資金とした場合、事業がよほど好調なら問題はないが、数年で閉店に追い込まれた場合は思わぬ損害を被る。
タイミングの悪い高値づかみの底値出しだと、坪百万円(ピークは倍とも聞いたが…)が五分の一の二十万円となり、五千万円の土地は一千万円にしかならず、差損四千万円が発生する。開店資金の二千万円と合わせると六千万円が吹き飛んでしまう勘定になる。
さらに閉店前には赤字経営を強いられるのが常。一千万円の赤字だと総額七千万円の損失を被ることになる。裸になるつもりで原点だった担保の土地の売却を相談すると、これまた一億円のはずがたった二千万円という現実に直面する。
完済していれば別だが、担保設定時の七千万円を限度額と考え、返済が減れば新たな借り入れを起こして常時七千万円の借入残高となるのが世の常。ここでも五千万円の借金だけが残る。二号店の損失と合わせて精算を胸算用すると土地を売却できたとしても一億二千万円という夢にも思わなかった借金地獄が待っていたことに気付く。
ところが問題はこれだけで終わらない。前述のストーリーは実勢価格に頼った精算方法。法的手段も含め担保の土地を銀行に差し出す方法もある。そうすると今度は銀行の不良債権問題が表面化することになる。
また、ギャップ問題は間接的に固定資産税の評価に影響する。実勢価格と基準地価を比較すれば、固定資産税は実勢価格の数倍になっていることがある。不況から無理して不動産処理を進めている一過性の価格と言ってしまえばそれまで。もっとフレキシブルな課税制度や資産デフレ解消の税制施策が望まれる。(J)

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