びんごトピックス  2004年2月20日号 

表紙写真     


尾道国際ホテルが一般募集モデルでファッションショー

山陽工業グループの尾道国際ホテル(尾道市新浜1-13-6、西村昌章支配人)は二月十五日、同ホテル瑞慶の間を会場に春の「ブライダルフェア」を開いた。
フェアでは模擬結婚式、一般からモデルを募ったブライダルファッションショー、料理や引出物などブライダル関連商品の展示があり、約三百五十人の参加があった。
模擬結婚式は三階のチャペル「ポート」で開催。讃美歌を歌い、若いカップルが牧師の主導で指輪交換と結婚宣言を行うなど本番さながらの式次第。結婚前の若い女性が大半の列席者たちは、近い将来を重ね合わせながら拍手で退場するカップルを見送っていた。
続くブライダルファッションショーはモデルの応募者が多く、抽選からスタート。一般から選ばれた女性モデル十九人が二部のショーに分かれて豪華な最新デザインのブライダル衣装で登場。特設ステージを華麗に歩き、大勢の見学者から盛大な拍手を受けた。衣裳はブライダルギャラリー福茂の提供。モデル体験者は三階の写場で人像写真シンシアによるポートレートを撮影、記念にプレゼントされた。
フェア会場には豪華な婚礼料理見本、装花、引出物などを説明員付きで展示、具体的な商談もあった。
また中屋本舗のケーキが飲み物付きで五百円というケーキバイキングは今年も人気。エステサロン、リシェスのジェルネイル体験コーナーもおしゃれな女性の注目を集めた。
同ホテルがブライダルフェアで行うファッションショーは口コミで若い女性に定着、会場内でもカメラ付きケイタイで友人にメールする姿が目立つなど、若い女性の話題イベントとなっている。


佐々木木工が中須町に展示場移転

収納家具等の佐々木木工梶i府中市本山町月見が丘530-148、資本金五千万円、川本一徳社長)は、国道四八六号沿い(市内高木町414-1)旧本社跡の一角に開設しているショールームを移転するため、二月十四日から二十九日まで「売りつくし大セール」を始めた。
対象となるのは婚礼セットやベッドルームファニチャー、リビング・ダイニング家具など全商品で、通常価格から三〇%〜七〇%を値引きする。一例ではキャビネット千円〜、ホテル用デスク五千円〜、ダイニング五点セット三万九千八百円〜、洋服ダンス同、和ダンス三万五千円〜、ドレッサー四万円〜などで、カリモクやマルニ等の有名メーカー商品やイタリア直輸入家具・雑貨など多数ある。展示場のビル屋上には同社ブランド「BIOS」の看板塔が目印となる。問い合せрO120・45・3543
新しい展示場は、市内中須町の同じ国道四八六号沿いからすぐ近くの門田石油中須給油所隣接で旧家具展示場(四階建て、延べ床面積千五百六十六平方m・敷地約千平方m)を改築して五月オープンを目指す。
同社は、昭和四年創業の府中家具業界の老舗、婚礼家具中心にベッドルームファニチャー、リビング・ダイニング家具など製造、年商二十億円規模。平成十年、イタリアにミラノ事務所、十五年にはISO9001の認証を取得している。
移転後の展示場と旧本社工場跡地は、食品スーパー、潟nローズ(福山市、本部神辺町)と賃貸契約を結んだ。ハローズでは、展示場ビルや工場棟を取り壊し、敷地面積約一万千百平方mに、鉄筋コンクリート造り二階建て、延べ床面積九千九百平方mの店舗を建設し、二十四時間営業の「ハローズ府中高木店」を今秋オープンさせる。一階には、ハローズが入店、二階には専門店をテナント入店させる複合型店舗を予定しており、直営で年商十七億円を目指す。府中市は同社創業の地で、現在は府中店が営業中で市内二店舗体制となる。同社ではこのほかに、福山市内の水呑店を北一kmに新築移転するのを含めて、岡山市に東岡山店など売場面積二千平方m規模の店舗を六月から来年二月までに五店舗出店する計画。同社は県内と岡山県内に二十三店舗(期末)を展開し、平成十六年二月期業績は、売上高三百六十五億円、経常利益十二億五千万円を見込む。


小丸製作所がレーザー加工機導入

ステンレス板金加工などの居ャ丸製作所(府中市木野山町60-2、資本金三百万円、小丸英彦社長、рO847・68・2301)はこのほど、厚さ十二oまでのステンレス薄板加工に対応できる、高精度の超高速レーザー加工機を導入した。 主に半導体製造装置部品や液晶工場向け機械部品を納入している同社が納入先からの短納期・高精度の要望に自社で応えようと、アマダ製の超高速レーザー加工機の導入に踏み切ったもの。カットは最大一二五〇mm×二五〇〇mm、厚さ十二mmの薄板まで、また焼けムラのないクリンカットは六mmまで対応できる。搭載されているレーザーの出力は、これまでメーンだった一・五kwを大きく上回る四kwで、アマダでも昨年発売したばかり、定価で六千万円クラスの最新鋭という。
小丸製作所ではこれまでシャーリングで切断、自社内で加工できた薄板は二mmまで。それ以上の厚さのものは外注しており、その費用は月約百万円程度かかっていた。今回の加工機導入で、外注費用が削減されるうえ、シャーリングによる熱変形や切断面の再加工などの手間も解消。またフル稼働すればレーザー加工事業部として加工の受注も見込めると期待している。
県東部で同機種を導入したのは同社のほかに一社だけという。同社では昨年春に工場作業場を増築、今回の設備投資と合わせ社内設備を充実させた小丸社長は「設備投資は終わった。ステンレス板金加工なら何でも自前でできる体制が整った」と話している。
同社は、ステンレス研磨製品を梱包、出荷する前に、自社開発の超音波洗浄機で洗浄処理するなど、高品質な製品を生み出すオリジナルな技術に定評がある。半導体製造装置部品のほかに制御盤筐体、各種カバーなども製造、地元を中心に大阪などの業者と取引がある。


中屋が銘菓「鯨羊羹」復活

宮内庁御用達として名高かった尾道銘菓「鯨羊羹」の本格生産がこのほど、拠屋本舗(尾道市高須町4835-3、前田幸正社長、рO848・47・3070)の手で復活した。宮内庁御用達を商品PRに利用できなくなり商品パッケージなどでは謳っていないが、何度も宮内庁へ納入された実績を持つ。
田沼清甘堂(同市十四日元町)がこれまで伝統を守ってきたが、店主の高齢と体調不良で鯨羊羹の生産はここ二年ほど途絶え、伝統銘菓の継続が心配されていた。今回、親せき筋の中屋本舗が協議のうえ、本格的生産を復活させた。
鯨羊羹は古来から日本で食用された鯨の表皮の黒い部分と白い脂肪層の食べ物「おばいけ」の姿に見せかけた羊羹。元は鯨餅とされ、江戸時代の記録に残る。全国で生産されていたが、今は数少ない。意匠を楽しむ菓子という発想から生まれ、先人達の美意識の高さを伝えている。
鯨羊羹の白い部分はもち米、黒い部分は昆布の粉を使用。ほどよい甘さとつぶつぶとした独自の食感が楽しめる。独自製法で軟らかいままの日持ちが二十日ほどに延長されている。一本千二百円。中屋本舗の全店で販売中。今後は福屋、三越での扱いも予定している。



こぼれ話  2004年2月10日号

復活鯨羊羹を見立てれば 見えてくる世界遺産尾道

尾道の銘菓「鯨羊羹」の生産が中屋本舗の手で復活した。元祖製造元は尾道のラーメンを有名にしたラーメン店、朱華園の斜め前にあり、観光客もたくさん通り過ぎるが、これまで「田沼清甘堂」という店名に目を止める人はほとんどいなかった。
尾道の人でも過去の商品と思っている人が増えたが、二、三年前までは予約で限定生産されていた。御用達品として名高くも滅多にお目にかかれず、たまたまお茶請けなどで出くわすと、「おお」と思わず声を上げるほど、稀少価値も高まり、愛好者の心に染みていた。それが店主の高齢化と体調不良で開店休業の状態が続き、味を知る人は伝統の継承に心をくだいていた。
亀田良一尾道市長もその一人。生産を復活させた中屋本舗の前田幸正社長に、復活を勧めていた。実は前田社長は田沼清甘堂の親せき。すでに八十歳を越える田沼清甘堂直系のご当主は家業を継がず、広い銀行畑を歩み、現在は兵庫県で暮らす。先代が亡くなったときも鯨羊羹の味を継承するため、中屋本舗が一肌脱いだ経緯を持つ。兵庫県のご当主に直筆の手紙をしたため、尾道文化継承のために中屋本舗が本格的に生産できるよう、口火を切ったのは亀田市長だった。
鯨羊羹とは鯨肉に見立てた羊羹のこと。鯨肉を食材に使用している訳ではない。見立てたのは鯨肉の中でも表皮部分。黒い表皮と脂質の白い部分が重なった脂身は酢味噌で食べる「おばいけ」で知られる。薄く輪切りにした鯨羊羹は、その「おばいけ」にそっくりだ。日本が古来から大切にしてきた美意識は石庭などに象徴される見立て。その見立てを楽しんだ菓子が鯨羊羹だった。
鯨羊羹の元は鯨餅で、十八世紀後半に寒天が生み出され、現在のような羊羹へ変容したという。黒と白の二層が特徴の鯨羊羹は江戸時代にも記録が残る。
インターネットで鯨羊羹を検索したが、これというものには出会えなかった。尾道の鯨羊羹を報告する観光客のサイト、小説に登場する鯨羊羹の一節などが散見される。鯨羊羹が生産されている痕跡は、「くじらのぼり」など鯨をまちづくりに利用している宮崎県佐土原町の店、捕鯨の一大基地だった宮城県牡鹿町鮎川港の店、大阪天満宮の祭りで今も献上されていると思しき品の三つ。
尾道も鯨と縁があった。造船のまち尾道には捕鯨のキャッチャーボートが修繕に立ち寄った。多いときは何隻も並び、尾道で暮らす乗組員も多かった。漁師が瀬戸内海の小型鯨を直接水揚げすることもあった。
鯨羊羹はその歴史から何とも言えない味わいを持つ。黒い部分の素材に使われている昆布は、北前船の時代から尾道で取り引きされた重要な海産物。三百年以上の伝統を引き継ぐ尾道浜問屋初市でもちりめん、煮干しに混じって北海道の日高産、釧路産、羅臼産といった昆布が競り落とされ、相場を動かす。
尾道ならではの歴史背景を彷彿とさせる鯨羊羹。白と黒の配色も日本人の心を伝える。鯨羊羹はまた、世界遺産登録を目指す尾道の心も上手く伝える逸品といえよう。(J)

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